118F46

48歳の女性。定期受診で来院した。20年前に糖尿病、5年前に糖尿病腎症を指摘されて自宅近くの診療所に通院している。身長154cm、体重52kg。体重はこの1年間変化がない。脈拍60/分、整。血圧132/72mmHg。心音と呼吸音とに異常を認めない。両下腿に軽度の圧痕性浮腫を認める。両側のアキレス腱反射は消失している。尿所見:蛋白3+、糖1+、潜血(-)。血液所見:赤血球349万、Hb 11.3g/dL、Ht 36%。血液生化学所見:総蛋白5.3g/dL、アルブミン3.0g/dL、尿素窒素47mg/dL、クレアチニン2.8mg/dL、eGFR 15.3mL/分/1.73m2、尿酸6.0mg/dL、血糖97mg/dL、HbA1c 6.4%(基準4.9〜6.0)、Na 132mEq/L、K 5.8mEq/L、Cl 107mEq/L。患者は1日1.5Lの飲水を行っており、外来で行った蓄尿検査で推定される塩分摂取量は5.8g/日、蛋白質摂取量は30g/日、カリウム摂取量は3,500mg/日であった。
この患者の食事内容で制限すべきなのはどれか。
塩分
水分
蛋白質
カリウム
カロリー

解答: d

118F46の解説

【ポイント】
糖尿病腎症で通院中の中年女性。eGFR 15.3mL/分/1.73m2とあるため、CKDのステージG4である。与えられた選択肢を1つずつ、本文記載の内容と照合していこう。

【選択肢考察】
a 塩分摂取量は5.8g/日であるため、健常人の目標値(女性6.5g)はおろか、高血圧患者の目標値(6g)まで達成できている。これ以上の塩分制限は必要ない。
b 軽度の圧痕性浮腫を認めるとあり(水分制限が必要なほどの貯水があったら出題者の心理としてはわざわざ「軽度の」などと付さない)、肺うっ血を示唆するような呼吸音(coarse cracklesなど)も聴取されていない。ゆえに水分制限は必要ない。
c ステージ3a以降で、蛋白質は0.8g/kg/日程度に制限をかける。本患者は体重52kgであるため、0.8×52=41.6g/日。現在の蛋白質摂取量は30g/日とあり、むしろ不足気味と言えよう。制限は必要ない。
d 正しい。カリウムはステージ3bで2,000mg/日以下、4以降で1,500mg/日以下に制限する。本患者のカリウム摂取量は3,500mg/日であるため、制限が必要だ。
e 身長154cm、体重52kg(BMI≒21.9)と肥満はないため、カロリー制限は必要ない。

正答率:97%

テーマ:慢性腎臓病〈CKD〉患者で制限すべき食事内容

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