118E37

80歳の女性。1か月前に自宅近くの病院で肺癌および多発骨転移と診断された。本人の強い希望で薬物による抗癌治療などの積極的な治療はせず、自宅にて訪問診療を受けている。トイレに行くことはできるが、日中も主にベッド上で過ごしている。65歳時に夫と死別してから独居である。息子はいるが遠方に住んでおり、ほとんど会うことはない。表情は硬く、自宅を訪問するスタッフとも会話をすることが少ないという。ある日、訪問診療に訪れた医師に、患者は「もう終わりにしたいです」と訴えた。
患者のこの言葉に対する医師の最初の返答で適切なのはどれか。
「緩和ケア病棟への入院を検討しましょう」
「すぐに安楽な死を迎えられる薬剤を準備します」
「身体の症状で、いま一番つらい症状を教えてください」
「おつらいですね、もう少しお気持ちをお話しいただけますか」
「そんなことをおっしゃらずに、もう少し頑張ってみましょう」

解答: d

118E37の解説

【ポイント】
「もう終わりにしたいです」と訴える終末期の患者に適切な医師の返答を選ぶ。

【選択肢考察】
a 本患者で問題となっているのは、終末期というただでさえ辛い状況下において、独居で人とほとんど話もせずベッド上で過ごしているという孤独感に思われる。もちろん緩和ケア病棟への入院でその孤独感が晴れる可能性はあるが、「もう終わりにしたいです」というある意味究極な発言に対する最初の返答として具体的なオプションを医師の側から提示するのは違う。
b 安楽死の誘導であり、★禁忌★。
c 身体の症状も辛いだろうが、精神的な辛さも大きいだろう。「身体の」に限定する必要はない。また「一番つらい症状」を聴取することは、傷口に塩を塗ることにもなりかねず、人によっては不快に感じるだろう。
d 正しい。共感の上、傾聴に回ること。これこそが、こうした場面で医師に求められる姿勢である。
e うつ状態の患者に対する励ましは功を奏さないことが多い。

正答率:100%

テーマ:「もう終わりにしたい」と訴える患者に対する医師の返答

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