118E36

23歳の男性。腹痛を主訴に来院した。2日前に上腹部痛を自覚した。本日、明け方から痛みが右下腹部に移動し、悪心を伴うため自宅近くの診療所を受診した。2日間排便がない。臍周囲から右下腹部が痛み、咳で右下腹部に痛みが響くようになったという。尿の異常は自覚していない。意識は清明。体温37.6℃。脈拍88/分、整。血圧108/70mmHg。呼吸数16/分。
この患者の腹部診察で正しいのはどれか。
直腸指診を行う。
聴診の前に打診を行う。
腸蠕動音の聴取は5秒間行う。
痛みを訴える部位から触診する。
腸蠕動音の聴取は5か所以上で行う。

解答: a

118E36の解説

【ポイント】
上腹部痛が右下腹部に移動している。発熱(体温37.6℃)や腹膜刺激症状(「咳で右下腹部に痛みが響く」)もみられており、急性虫垂炎を考える。

【選択肢考察】
a 正しい。膿瘍が形成されているケース等では、直腸指診にて直腸右壁に片側性の圧痛を認めることがある。しかしながら、急性虫垂炎に対する直腸指診には否定的な見解の医師もおり、全国の医療機関で一般的に行われているような手技ではない。そのため必修臨床問題にもかかわらず、正答率は9%となった。特に不適切判定等はなされなかったため、仕方ないが次回以降の国試対策として覚えておくしかない。
b 打診の前に聴診を行う。
c 腸蠕動音は5〜15秒おき程度に聴取されるため、5秒間だけの聴診では聞き漏らす恐れがある。
d 痛みを訴える部位の触診は最後にまわす。
e 腸蠕動音の聴取は1〜2か所でよい。

正答率:9%

テーマ:急性虫垂炎疑いの患者に対する腹部診察について

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