118E31

38歳の女性(3妊0産)。強い腹痛を主訴に救急車で搬入された。月経周期は28日型、整。最終月経は7週間前。本日から突然強い下腹部痛を自覚したため救急車を要請した。性器出血を認めない。意識は清明。体温37.1℃。心拍数116/分、整。血圧78/52mmHg。呼吸数20/分。SpO2 98%(room air)。腹部は軽度膨隆し右下腹部に圧痛と反跳痛を認める。妊娠反応陽性。腹部超音波検査でMorrison窩とDouglas窩に低輝度の液体貯留像を認める。経腟超音波検査で子宮内膜の高輝度肥厚および右付属器領域に不整形低エコーを認める。
この患者への適切な対応はどれか。
緊急手術
子宮鏡検査
子宮動脈塞栓術
1週間経過観察
葉酸代謝拮抗薬投与

解答: a

118E31の解説

【ポイント】
妊娠反応陽性であるため、最終月経から考えると妊娠7週である。このタイミングで「突然強い下腹部痛」がみられている。右下腹部に圧痛と反跳痛を認めていることから、左右差のある病態と推測したい。経腟超音波検査所見から、異所性妊娠〈子宮外妊娠〉と考えられる。腹部超音波検査でMorrison窩とDouglas窩に低輝度の液体貯留像を認めており、破裂により腹腔内出血をきたしている可能性が高い。血圧78/52mmHgとショック状態であり、緊急対応が望まれる。

【選択肢考察】
a 正しい。異所性妊娠の破裂であり、緊急手術の適応となる。
b 子宮鏡検査を行っている余裕はない。
c 子宮動脈が責任動脈かは不明。
d ショック状態の患者を1週間経過観察するのは★禁忌★。
e 葉酸代謝拮抗薬(メトトレキサート〈MTX〉)は破裂前に有効。余談だが、115回以前にこの問題が出題されていれば、 116D50 の正答率はもう少し高かったかもしれない。

正答率:95%

テーマ:ショック状態の異所性妊娠〈子宮外妊娠〉への対応

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