118D68

60歳の女性。健診の腹部超音波検査で右副腎腫瘍を指摘され来院した。3年前から高血圧症と糖尿病で自宅近くの診療所に通院中であり、内服薬は段階的に増量されている。身長163cm、体重64kg。体温36.2℃。脈拍60/分、整。血圧156/90mmHg。呼吸数14/分。SpO2 98%(room air)。満月様顔貌、中心性肥満および腹部・大腿部の皮膚線条を認めない。両側下腿に圧痕性浮腫を認める。血液生化学所見:空腹時血糖148mg/dL、HbA1c 7.4%(基準4.9~6.0)、Na 138mEq/L、K 3.7mEq/L、Cl 102mEq/L、副腎皮質刺激ホルモン〈ACTH〉6.2pg/mL(基準60以下)、コルチゾール14.0μg/dL(基準5.2~12.6)。腹部CTの冠状断像を別に示す。
この患者における副腎腫瘍の評価で有用なのはどれか。2つ選べ
CRH負荷試験
インスリン負荷試験
デキサメタゾン抑制試験
副腎皮質シンチグラフィ
75g経口ブドウ糖負荷試験

解答: c,d

118D68の解説

【ポイント】
健診で偶然発見された右副腎腫瘍。「満月様顔貌、中心性肥満および腹部・大腿部の皮膚線条を認めない」という記載からは、「Cushing症候群っぽいけど少し違う病態を想起して!」というメッセージを感じる。コルチゾールが正常上限をやや上回っており、ACTHが低下している(ACTHは「基準60以下」と併記されるが、今回のように1桁になっている時点で低値と判断すべき初心者泣かせな検査項目だ)。画像では右副腎部に腫瘍性病変が同定できる。副腎性subclinical Cushing症候群と考えられる。

【選択肢考察】
a subclinicalではない、通常のCushing症候群の検査。
b 成長ホルモン分泌不全症などの検査。
c 正しい。デキサメタゾン抑制試験によってコルチゾール分泌が抑制されないことが、副腎性subclinical Cushing症候群の診断基準に含まれている。
d 正しい。副腎皮質シンチグラフィにて患側の取り込みと健側の抑制を示すことが、副腎性subclinical Cushing症候群の診断基準に含まれている。
e 糖尿病などの検査。

正答率:45%

テーマ:subclinical cushing症候群の診断に有用な検査

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