118D56

55歳の男性。嚥下障害を主訴に来院した。35歳ごろに両手に粗大な動作時振戦と下肢の筋力低下が出現し、徐々に進行した。40歳ごろには上肢にも筋力低下がみられるようになった。50歳ごろには、呂律が回りにくくなり、半年前から嚥下障害が出現し開鼻声になった。平地歩行はかろうじて可能である。発話の際に顔面筋の線維束性収縮が認められる。患者は3人兄弟の末子で兄が同じ症状を示すという。挺舌時の写真を別に示す。
最も考えられるのはどれか。
Huntington病
球脊髄性筋萎縮症
副腎白質ジストロフィー
Charcot-Marie-Tooth病
Becker型進行性筋ジストロフィー

解答: b

118D56の解説

【ポイント】
108D30 とほぼ同一問題(臨床文には「60歳」→「55歳」、「ころ」→「ごろ」、「ろれつ」→「呂律」、「鼻声」→「開鼻声」といったマイナーな校正が入っている)。下肢から上行する筋力低下があり、線維束性収縮など下位運動ニューロン障害はあるも、上位運動ニューロン障害はみられていない。兄が同じ症状を示すことから遺伝性疾患(特にX染色体潜性遺伝〈XR〉)が考えられ、球脊髄性筋萎縮症〈Kennedy-Alter-Sung病〉を疑う。両手にみられる粗大な動作時振戦は不随意運動であるが、これは錐体外路症状ではなく、下位運動ニューロン障害の一環としてみられているものである。

【選択肢考察】
a Huntington病では舞踏様運動をみる。
b 正しい。上記の通り。女性化乳房を呈することを確認しておきたい。
c 副腎白質ジストロフィーは小児に好発し、知能低下や皮膚の色素沈着をみる。
d Charcot-Marie-Tooth病では、前脛骨筋障害をきたし、逆シャンペンボトル様の下腿萎縮をみる。
e Becker型進行性筋ジストロフィーでは線維束性収縮をみない。

正答率:79%

テーマ:球脊髄性筋萎縮症〈SBMA〉の診断

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