118D41

49歳の男性。発熱と異常行動のため救急車で搬入された。1週間前に咽頭痛と微熱があり、自宅近くの診療所で総合感冒薬を処方された。その後、微熱が持続し2日前から頭痛が出現した。今朝、家族が様子を見に行くと自室で裸になっており、つじつまの合わない言動がみられた。既往歴と家族歴に特記すべきことはない。搬入時、開眼しているが場所と時間の見当識障害を認めた。身長170cm、体重60kg。体温38.5℃。心拍数84/分、整。血圧112/70mmHg。心音と呼吸音とに異常を認めない。項部硬直とKernig徴候を認める。脳神経には異常を認めない。四肢の運動麻痺はなく、痛覚刺激に対する反応に左右差を認めない。血液所見:赤血球520万、Hb 15.2g/dL、Ht 45%、白血球7,500、血小板28万。血液生化学所見:血糖100mg/dL。CRP 0.1mg/dL。脳脊髄液所見:初圧180mmH2O(基準70〜170)、外観はキサントクロミー、細胞数98/mm3(基準0〜2)(多形核球2%、単核球98%)、蛋白150mg/dL(基準15〜45)、糖50mg/dL(基準50〜75)。頭部単純MRIのFLAIR像を別に示す。
この患者にまず行うのはどれか。
抗菌薬投与
自宅安静指示
ヘパリン投与
ジアゼパム投与
アシクロビル投与

解答: e

118D41の解説

【ポイント】
前駆する感冒症状の後、頭痛と異常行動、意識障害が出現している。項部硬直とKernig徴候からは髄膜炎を疑うが、頭部単純MRIをみるとそうではないことが分かる。側頭葉内側に高信号域を認めており、ヘルペス脳炎を考えたい(ヘルペス脳炎でも髄膜刺激症状がみられて矛盾はない)。脳脊髄液所見にて単核球優位な細胞数増加がみられ、糖が基準値内にあることからもウイルス性と判断できる。

【選択肢考察】
a 細菌感染症ではないため、無効。
b すみやかな治療が必要な疾患である。自宅安静では死に至る危険性もあるため、★禁忌★。
c 肺血栓塞栓症などへの対応。
d けいれんが起こっているわけではないため、不要。
e 正しい。アシクロビルは抗ヘルペスウイルス薬である。

正答率:93%

テーマ:単純ヘルペス脳炎にまず行うこと

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