118D40

74歳の女性。蛋白尿を指摘されて来院した。昨年の特定健康診査で蛋白尿を指摘されたが、症状がなかったのでそのままにしていた。今年の特定健康診査でも蛋白尿を指摘されて受診した。既往歴に特記すべきことはない。体調不良はなく就業しており、自宅で時々測定している血圧は120/70mmHg前後である。体重は増減なく安定しているが、両下腿にごく軽度の圧痕性浮腫を認める。尿所見:比重1.015、pH 6.0、蛋白3+、糖(-)、潜血(-)、随時尿の尿蛋白/クレアチニン比は2.5g/gCr(基準0.15未満)。尿沈渣に赤血球1~4/HPF、白血球1~4/HPF、硝子円柱1〜4/HPF、顆粒円柱と幅広円柱を少数認める。血液生化学所見:クレアチニン0.7mg/dL、eGFR 61.6mL/分/1.73m2。腹部超音波検査では腎臓に異常を認めない。
最も考えられるのはどれか。
IgA腎症
膜性腎症
多発性嚢胞腎
微小変化型ネフローゼ症候群
特発性半月体形成性糸球体腎炎

解答: b

118D40の解説

【ポイント】
高齢者の蛋白尿。随時尿の尿蛋白/クレアチニン比2.5g/gCr(≧3.5がネフローゼ症候群の診断基準)からはネフローゼ症候群までは至っていないも、その一歩手前の状態と考えられる。いずれにせよ、尿潜血が陰性であることから、血尿をきたすタイプの糸球体腎炎は除外できる。

【選択肢考察】
a 血尿をきたしやすい。
b 正しい。高齢者のネフローゼ症候群の原因として多いため、選択肢の中では最も考えやすい。
c 「腹部超音波検査では腎臓に異常を認めない」という記載から否定的。また、血尿をきたしやすい。
d 小児〜若年者に多く、急性発症する。
e 血尿をきたしやすい。

正答率:90%

テーマ:膜性腎症〈MN〉の診断

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