118D38

56歳の女性。腰背部および四肢の痛みを主訴に来院した。5年前から腰背部および四肢の痛みが出現した。半年前に夫が肺癌で死去。その頃から痛みが悪化し、自宅近くの診療所で処方されたNSAIDを内服したが改善しないため受診した。最近、就寝中に下肢の痛がゆい不快な感覚があり動かすと消失する。体重に増減はない。体温36.2℃。脈拍80/分、整。血圧120/76mmHg。手指遠位指節間関節や近位指節間関節に骨棘を触れる。全身の関節に圧痛を認めるが、腫脹を認めない。両側僧帽筋上縁中央部や臀部上外側を含め体幹や四肢の広い範囲で、触診時に顔をしかめるような疼痛反応を認める。脊椎の可動域に異常を認めない。四肢体幹の筋力低下を認めない。四肢に運動感覚障害を認めない。尿所見に異常を認めない。赤沈8mm/1時間。血液所見:赤血球425万、Hb 12.8g/dL、Ht 40%、白血球4,200、血小板19万。血液生化学所見:総蛋白7.0g/dL、AST 21U/L、ALT 16U/L、LD 140U/L(基準124〜222)、尿素窒素10mg/dL、クレアチニン0.4mg/dL、CK 48U/L(基準41〜153)、TSH 3.5μU/mL(基準0.2〜4.0)、コルチゾール12.4μg/dL(基準5.2〜12.6)。免疫血清学所見:CRP 0.1mg/dL、リウマトイド因子〈RF〉陰性、抗核抗体陰性。
この患者の全身の疼痛の原因はどれか。
脊椎関節炎
線維筋痛症
関節リウマチ
変形性関節症
リウマチ性多発筋痛症

解答: b

118D38の解説

【ポイント】
「就寝中に下肢の痛がゆい不快な感覚があり動かすと消失する」という記載からむずむず脚症候群が思い浮かぶが、選択肢に含まれていない(親切だ)。ポイントは「全身の関節に圧痛を認める」という記載。線維筋痛症のキーワードである。

【選択肢考察】
a 「脊椎の可動域に異常を認めない」という記載より否定的。
b 正しい。上記の通り。
c リウマトイド因子が陽性となるはずである。また、赤沈の亢進やCRP上昇をみるはず。
d 骨棘を触れている点は合致するが、疼痛が全身に及ぶことはない。
e 発熱や赤沈亢進、CRP上昇をみるはず。

正答率:92%

テーマ:線維筋痛症の診断

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