118D32

64歳の男性。定期受診で来院した。8年前に糖尿病、1年半前に急性前壁心筋梗塞を発症し慢性心不全と診断され自宅近くの診療所に通院している。アスピリン、アンジオテンシン変換酵素〈ACE〉阻害薬、カルベジロール、スピロノラクトン、スタチン及びプロトンポンプ阻害薬を内服している。定期受診時に浮腫を認めた。意識は清明。身長170cm、体重80kg。体温36.2℃。脈拍84/分、整。血圧108/76mmHg。SpO2 98%(room air)。皮膚は湿潤。頸静脈の怒張を認める。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。四肢末梢に冷感を認めない。両下腿に浮腫を認める。尿所見:蛋白(-)、糖1+。血液所見:赤血球436万、Hb 13.2g/dL、白血球8,000、血小板28万。血液生化学所見:総ビリルビン1.2mg/dL、AST 48U/L、ALT 42U/L、CK 72U/L(基準59〜248)、尿素窒素12mg/dL、クレアチニン0.7mg/dL、血糖124mg/dL、HbA1c 6.9%(基準4.9〜6.0)、LDLコレステロール80mg/dL、Na 132mEq/L、K 4.8mEq/L、BNP 216pg/mL(基準18.4以下)。CRP 0.8mg/dL。12誘導心電図を別に示す。胸部エックス線写真で心陰影の拡大と軽度のうっ血を示す。心エコー検査で駆出率42%、前壁の非薄化を認め、下大静脈径の増大と呼吸性変動の低下を認める。
予後を改善するために追加すべき薬剤はどれか。
α遮断薬
ベラパミル
SGLT2阻害薬
スルホニル尿素薬
アンジオテンシンII受容体拮抗薬

解答: c

118D32の解説

【ポイント】
慢性心不全と診断されている患者の定期受診時に浮腫を認めている。頸静脈怒張や胸部エックス線写真における心拡大とうっ血といった記載から慢性心不全の増悪が疑われる。12誘導心電図では陰性T波(I, aVL, V4〜V6)やR波の減高(V1〜3)が読み取れ、陳旧性心筋梗塞の所見に矛盾しない。

【選択肢考察】
a 特に慢性心不全の予後改善効果はない。
b 特に慢性心不全の予後改善効果はない。
c 正しい。心不全イベントのリスクを低下させ、予後改善効果があることが示されている。
d 特に慢性心不全の予後改善効果はない。
e すでにACE阻害薬が投与されているため、追加はできない(See 115A51-e)。

正答率:91%

テーマ:慢性心不全の予後改善のため追加すべき薬剤

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