118D30

73歳の男性。膵臓の精査のため来院した。2週間前に人間ドックの腹部超音波検査で膵管拡張を指摘され受診した。10年前から糖尿病で内服加療中である。意識は清明。身長160cm、体重57kg。体温36.8℃。脈拍88/分、整。血圧140/94mmHg。呼吸数12/分。眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。血液生化学所見:総蛋白7.4g/dL、アルブミン4.5g/dL、総ビリルビン0.7mg/dL、AST 22U/L、ALT 19U/L、LD 190U/L(基準124〜222)、ALP 85U/L(基準38〜113)、γ-GT 18U/L(基準13〜64)、アミラーゼ120U/L(基準44〜132)、尿素窒素17mg/dL、クレアチニン0.8mg/dL、血糖174mg/dL、HbA1c 7.2%(基準4.9〜6.0)、CEA 3.2ng/mL(基準5以下)、CA19-9 38U/mL(基準37以下)。CRP 0.1mg/dL。MRCP像を別に示す。
診断はどれか。
胆管癌
十二指腸乳頭部腫瘍
膵・胆管合流異常症
粘液性嚢胞腫瘍〈MCN〉
膵管内乳頭粘液性腫瘍〈IPMN〉

解答: e

118D30の解説

【ポイント】
高齢男性における膵腫瘍の鑑別。MRCP像では膵頭部にぶどう房状の多房性嚢胞がみられ、膵管内乳頭粘液性腫瘍〈IPMN〉と分かる。

【選択肢考察】
a 胆管癌なら胆管の拡張がみられるはず。
b 十二指腸乳頭部腫瘍では胆管の拡張もみられるはず。
c 画像からは膵・胆管合流異常症がある様子(共通管によって胆管と膵管が合流している様子)はみてとれない。
d MCNは若年女性に好発し、膵体尾部に厚い被膜を伴った夏みかん状の腫瘍として描出される。
e 正しい。上記の通り。

正答率:92%

テーマ:膵管内乳頭粘液性腫瘍〈IPMN〉の診断

フォーラムへ投稿

関連トピック

なし