118D29

32歳の経産婦(2妊1産)。妊娠35週1日、性器出血を主訴に救急車で搬入された。妊娠33週まで別の医療機関で妊婦健康診査を受けていた。里帰り分娩の目的で当院を受診予定であったが、性器出血を自覚したため救急車を要請した。意識は清明。体温37.2℃。心拍数92/分、整。血圧108/72mmHg。呼吸数20/分。SpO2 98%(room air)。腟鏡診で外子宮口から出血が持続し、総量が約200mLであった。胎児心拍数陣痛図にて胎児の状態は良好であり、10分間に1回の子宮収縮を認める。来院時の経腟超音波像(矢印は内子宮口)を別に示す。
適切な対応はどれか。
輸血
体位変換
緊急帝王切開
双手子宮圧迫
硫酸マグネシウム投与

解答: c

118D29の解説

【ポイント】
妊娠35週での性器出血。腟超音波像では子宮口(矢印部)と児頭との間に胎盤と思しき構造物が指摘できる。前置胎盤の診断。前置胎盤への一般的な対応は、(自己血貯留などをしつつ)正期産まで待ち帝王切開である。しかし本症例では「子宮口から出血が持続し、総量が約200mL」と出血アピールが強い。このケースでは緊急帝王切開が選択される。

【選択肢考察】
a 血圧は108/72mmHgと比較的保てており、輸血の緊急性は低い。
b 臍帯圧迫により変動一過性徐脈がみられている場合や、仰臥位低血圧症候群への対応。
c 正しい。上記の通り。
d 弛緩出血への対応。
e 子宮収縮抑制や子癇に対して用いられる。

正答率:78%

テーマ:出血が持続する前置胎盤への対応

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