118D22

65歳の男性。健康診査の腹部超音波検査で異常を指摘され来院した。2年前の健康診査で肝機能異常を指摘されていたが、自覚症状はないため検査は受けていない。既往歴に特記すべきことはない。自営業。喫煙歴は20本/日を20年間。飲酒はビール350mL/週を45年間。母親が肝癌で死亡。身長170cm、体重70kg。脈拍96/分、整。血圧144/90mmHg。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は右季肋下に肝を2cm触知する。血液生化学所見:総ビリルビン0.8mg/dL、AST 90U/L、ALT 85U/L、γ-GT 60U/L(基準13〜64)、空腹時血糖98mg/dL、HbA1c 5.6%(基準4.9〜6.0)、トリグリセリド160mg/dL、HDLコレステロール36mg/dL、α-フェトプロテイン〈AFP〉160,000ng/mL(基準20以下)。免疫血清学所見:HBs抗原陰性、①HCV抗体陽性②ICG試験(15分値)8%(基準10以下)。胸腹部造影CTで肝右葉前区域に③肝内転移1個を伴う④径5cmの肝細胞癌を認め、⑤両側肺への転移を認めた。
この患者で肝細胞癌切除手術を適応外と判断する根拠はどれか。

解答: e

118D22の解説

【ポイント】
肝細胞癌の治療方針について、切除が適応外となる状況を下線部から選ぶ。

【選択肢考察】
a 肝細胞癌の由来がC型肝炎だから切除できなくなる、といったことはない。
b ICG試験(15分値)は正常値であり、切除をしない理由にはならない。
c もともとの腫瘍と肝内転移1個を合わせ、腫瘍数は2個となる。3個以下であれば切除の適応となる。
d 径5cmであっても切除は可能である。
e 誤り。肝外転移があった場合、切除の適応はなくなる。

正答率:97%

テーマ:肝細胞癌切除手術の適応

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