118C58

68歳の男性。背部の広範な出血斑を主訴に来院した。1週間前から四肢に紫斑がみられるようになった。昨日入浴時に背部の広範な出血斑に気付いたため受診した。高血圧症と心房細動で降圧剤とワルファリンを内服している。血液所見:PT-INR 4.0(基準0.9〜1.1)、活性化部分トロンボプラスチン時間〈APTT〉60秒(基準対照32.2)。交差混合試験では、患者血漿に正常血漿を添加すると凝固時間の延長は補正された。
治療で適切なのはどれか。2つ選べ
ビタミンK投与
第VIII因子製剤投与
ワルファリンの中止
ガンマグロブリン投与
グルココルチコイド投与

解答: a,c

118C58の解説

【ポイント】
高齢男性の出血傾向。PT-INRが4.0、APTTが60秒と上昇ないし延長していることから、内服中のワルファリンが効きすぎている可能性が高い。その証拠に、正常血漿(血漿中に凝固因子が含まれる)を患者血漿に添加(つまり凝固因子を補充)したら延長は補正されたとのこと。ワルファリンによってビタミンK依存性の凝固因子(II, VII, IX, X)が欠乏しているのが出血傾向の原因と分かる。

【選択肢考察】
a 正しい。ワルファリンはビタミンKに拮抗する作用を持つ。ゆえにビタミンK自体を補うことで、中和することができる。
b 第VIII因子はワルファリンと関係ない。
c 正しい。「中止」までやってしまってよいのか(例えば文脈は異なるが、膠原病患者に対して長期投与していた副腎皮質ステロイドを突然中止すると副腎クリーゼになるから危険、などの有名パターンもある)で悩んだ受験生が多いようで、選択率は79%に留まった。ワルファリンの場合は問題ない。消去法により、なんとか候補に残してほしかったところだ。
d 免疫性血小板減少性紫斑病〈ITP〉や川崎病の治療。
e 本患者でみられている出血傾向に対し、グルココルチコイド(副腎皮質ステロイド)は無効。

正答率:69%

テーマ:ビタミンK欠乏症の治療

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