118C53

職員500人の工場内でX工程に従事している職員の間で肝血管肉腫が多発しているという報告を産業医が受けた。10年前の工場開設以来、職員の異動はなく同じ職場に継続して勤務している。直ちに全職員の肝血管肉腫検診を行うとともに人事記録を基に(A)X工程に配置されていた職員50人と(B)X工程に配置されたことがない職員450人の2グループを特定し、過去の健康診断結果および医療機関受診状況を確認した。Aグループで6人が肝血管肉腫に罹患していたのに対し、Bグループで1名が罹患していたことが明らかとなった。
実施した調査の研究デザインはどれか。
症例対照研究
後向きコホート研究
ケースシリーズ研究
ランダム化比較試験
メタ分析〈メタアナリシス〉

解答: b

118C53の解説

【ポイント】
ポイントは2つ。1つ目はA, Bという2グループがX工程に配置されていたか否か、により分けられていること。すなわち介入研究ではなく観察研究だ。2つ目は要因の有無により分けたグループを追跡し、肝血管肉腫の罹患者をカウントしていること。以上を前提に、選択肢を検討していこう。

【選択肢考察】
a 症例対照研究であれば、肝血管肉腫に罹患した者としていない者とでグループ分けを行うはず。
b 正しい。コホート研究は通常、現在の要因の有無から未来に向かって追跡を行う。しかし、今回のケースのように過去の要因の有無から追跡することもでき、その場合は後ろ向きコホート研究と呼ばれる。
c ケースシリーズ研究で対象となるのは疾病罹患者のみである。
d ランダム化比較試験は介入研究である。
e メタ分析〈メタアナリシス〉は複数の研究結果を収集・統合するものである。

正答率:70%

テーマ:研究デザインの判別

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