118C43

36歳の初産婦(1妊0産)。妊娠31週5日、下腹部痛と性器出血のため救急車で搬入された。これまでの妊娠経過に異常はなかった。自宅で突然強い下腹部痛と性器出血を訴え、意識は清明だがぐったりしているため、家族が救急車を要請した。31歳時に腹腔鏡下子宮筋腫核出術を受けている。身長162cm、体重64kg。意識レベルはJCS I-1。体温35.1℃。心拍数116/分、整。血圧76/54mmHg。呼吸数28/分。SpO2 98%(リザーバー付マスク10L/分 酸素投与下)。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は膨満している。静脈路の確保を行った。
直ちに行う検査で適切なのはどれか。
頭部単純CT
腹部造影CT
腹部超音波検査
子宮動脈造影検査
胎児心拍数陣痛図〈CTG〉

解答: c

118C43の解説

【ポイント】
妊娠31週にみられた突然の強い下腹部痛と性器出血。31歳時に腹腔鏡下子宮筋腫核出術を受けていることから、当該部分が脆弱であったのだろう。子宮破裂を疑う。「腹部は膨満」とのことで、大量出血しているのだろう。これによりショック状態(血圧76/54mmHg)に至っている。

【選択肢考察】
a 現状、頭部に直接評価したい対象はない。また、ショック状態でのCT実施は危険である(いわゆる「死のトンネル」)。
b 腹部造影CTでも子宮破裂の診断は可能だが、時間を要するため、迅速性に欠ける。また、ショック状態でのCT実施は危険である(いわゆる「死のトンネル」)。
c 正しい。侵襲無く、すみやかに子宮内・腹腔内を観察することができる。
d 子宮動脈から出血している可能性もあるが、そうでないかもしれない。まだ責任病変が不明な段階から決め打ちで時間のかかる造影検査を選ぶのは危険である。ショック状態であり、すみやかに全体像を確認できる検査をまず優先すべきだ。
e 「胎児は大丈夫かな?」という発想からCTGを選びたくなる気持ちは分かる(約10%の者が選択してしまった)。が、CTGの装着や記録には時間がかかる上、今母体がショックとなっている以上、母体救命が優先される。もっと言うなら、腹部超音波検査でも胎児の状況は大まかに確認可能であり、この観点からも現時点でCTGの出番はない。

正答率:90%

テーマ:子宮破裂に対して直ちに行う検査

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