118C38

日齢28の女児。1か月健康診査のため産科診療所に両親に連れられて来院した。在胎39週、出生体重2,850g。日齢1から黄疸が増強したため光線療法を3日間実施した。日齢6の総ビリルビン7.3mg/dL、直接ビリルビン0.1mg/dLと改善を認めたため退院した。完全母乳栄養である。来院時体重3,450g。体温36.8℃。脈拍120/分、整。血圧80/42mmHg。呼吸数32/分。SpO2 99%(room air)。皮膚の軽度黄染を認める。眼球結膜に軽度黄染を認める。心音と呼吸音とに異常を認めない。肝を肋骨弓下に2cm触知する。血液所見:赤血球420万、Hb 13.6g/dL、白血球9,600、血小板24万、PT-INR 1.0(基準0.9~1.1)、APTT 30秒(基準32.2秒)。血液生化学所見:総蛋白5.7g/dL、アルブミン3.8g/dL、総ビリルビン6.6mg/dL、直接ビリルビン0.1mg/dL、AST 35U/L、ALT 32U/L、尿素窒素4.1mg/dL、クレアチニン0.2mg/dL。
適切な対応はどれか。
経過観察
交換輸血
光線療法
胆道ドレナージ
母乳栄養から人工栄養への変更

解答: a

118C38の解説

【ポイント】
新生児の黄疸。「完全母乳栄養である」とわざわざ記載があること、光線療法で改善を認めていること、「"軽度"黄染」という表現が2回も用いられていること、現状のビリルビン値が総ビリルビン6.6mg/dL、直接ビリルビン0.1mg/dLと絶対値としてそこまで高くなく、かつ間接ビリルビン優位であること、などから総合的に母乳性黄疸と考えられる。

【選択肢考察】
a 正しい。母乳性黄疸に対しては経過観察が原則となる。
b 光線療法でも改善がみられず、かつビリルビン値が高値の場合に交換輸血が検討される。
c すでに光線療法で改善がみられており、ビリルビン値も低いことから、光線療法を再度行う必要性は低い。
d 胆道の通過障害があり、胆汁うっ滞がみられる場合に有効。その場合は直接ビリルビンが優位になるはずだ。
e 母乳性黄疸を文字通りに捉えると「母乳が原因となって黄疸」と読めてしまうため、一見ほかの栄養への変更が必要そうに思えてしまうが、これは昔からよくある引っ掛け肢。原則として母乳性黄疸は経過観察でよく、変更は必要ない。

正答率:68%

テーマ:遷延黄疸への対応

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