118B35

38歳の男性。交通外傷後の右胸部痛と呼吸困難とを主訴に救急車で搬入された。乗用車運転中に中央分離帯に正面衝突し胸部を強打した。意識は清明。体温35.4℃。心拍数108/分、整。血圧88/60mmHg。呼吸数28/分。SpO2 88%(リザーバー付マスク10L/分 酸素投与下)。瞳孔径は両側4mmで対光反射は正常である。発声は可能で口腔内分泌物はない。毛細血管再充満時間3秒である。皮膚には冷汗と湿潤を認める。頸静脈の怒張がみられる。右胸部は視診で胸郭膨隆、触診で皮下気腫、打診で鼓音および聴診で呼吸音減弱を認める。心音に異常を認めない。
直ちに行うべき治療はどれか。
胸腔穿刺
低体温療法
浸透圧利尿薬投与
乳酸リンゲル液大量投与
非侵襲的陽圧換気〈NPPV〉

解答: a

118B35の解説

【ポイント】
交通外傷後にて胸部を強打した後、右胸部痛と呼吸困難とがみられている。胸郭膨隆、皮下気腫、鼓音および呼吸音減弱といった記載より気胸を疑う。血圧88/60mmHgや頸静脈怒張からは閉塞性ショックに至っていることが読み取れる。

【選択肢考察】
a 正しい。胸腔ドレナージと書かれていても同じことである。気胸に対して第一選択となる治療だ。
b 心肺停止後の心拍再開者(蘇生者)に対し、臓器保護を狙い行われる。
c 頭蓋内圧亢進時などに行われる。
d 循環血液量減少性ショックに対して有効。本症例は気胸による閉塞性ショックであり、胸腔穿刺が優先される。
e 気胸に対し、脱気する前に陽圧をかけると病態が増悪する(★禁忌★)。

正答率:99%

テーマ:気胸に直ちに行うべき治療

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