118A70

27歳の女性。動悸および手の震えを主訴に来院した。妊娠中は自覚しなかったが、1年前の出産後、半年経過した頃から労作時の動悸、発汗および手の震えを感じていた。食欲は変わらないが、体重は最近3か月で5kg減少した。また、急に暑がりになった。出産後から無月経が続いている。身長160cm、体重42kg。体温37.2℃。脈拍112/分、整。血圧116/60mmHg。呼吸数14/分。SpO2 99%(room air)。甲状腺の腫大を認めるが、柔らかく圧痛は認めない。頸部リンパ節を触知しない。手指に細かい振戦を認める。血液生化学所見:甲状腺刺激ホルモン〈TSH〉0.01μU/mL未満(基準0.2~4.0)、遊離トリヨードサイロニン〈FT3〉21.5pg/mL(基準2.3~4.3)、遊離サイロキシン〈FT4〉3.7ng/dL(基準0.8~2.2)。頸部の写真を別に示す。
この患者の診断に有用な検査はどれか。2つ選べ
頸部単純CT
甲状腺超音波検査
甲状腺細胞診検査
サイログロブリン測定
抗TSH受容体抗体測定

解答: b,e

118A70の解説

【ポイント】
動悸、発汗、手の震え、体重減少、といったキーワードに加え、柔らかい甲状腺腫大がある。TSH低値、FT3とFT4高値から甲状腺機能亢進症を考えよう。画像では甲状腺のびまん性腫大がみてとれ、Basedow病と考えられる。なお今回のエピソードは分娩後から出現しているが、妊娠・分娩はBasedow病が発症や増悪しやすいことが知られている。

【選択肢考察】
a 甲状腺腫大は分かるかもしれないが、それは外表や触診所見からすでに明らかであり、それ以上に診断に有用な情報は期待できない。
b 正しい。病変部位のエコーレベルや血流を評価することが診断に有効。
c 悪性腫瘍を疑った場合に有効。
d サイログロブリン値は高値が予想されるが、甲状腺疾患に非特異的なマーカーであるため、診断には役立たない。
e 正しい。Basedow病では抗TSH受容体抗体〈TRAb〉が陽性となる。

正答率:87%

テーマ:Basedow病の診断に有用な検査

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