118A66

55歳の男性。嚥下困難を主訴に来院した。2年前から右上肢の筋力低下が出現した。1年前から足がつっぱり、つまずきやすくなった。3か月前から食事中にむせることがある。この1年間で体重は3kg減少した。意識は清明。身長168cm、体重55kg。体温36.5℃。脈拍80/分、整。血圧128/72mmHg。眼球運動に異常を認めない。構音障害を認める。舌に萎縮を認め、線維束性収縮を認める。四肢遠位筋に筋力低下と筋萎縮を認める。腱反射は上下肢とも亢進しており、Babinski徴候は両側陽性。感覚は正常である。
この患者に起こる可能性が高いのはどれか。
褥瘡
複視
排尿障害
呼吸筋麻痺
起立性低血圧

解答: d

118A66の解説

【ポイント】
中年男性の全身の筋力低下(感覚は正常)。嚥下困難・構音障害は球麻痺であろう。上位運動ニューロン症状(腱反射亢進やBabinski徴候陽性)と下位運動ニューロン症状(遠位筋の筋力低下と筋萎縮や線維束性収縮)と上下双方の運動ニューロンが障害されていることと合わせ、筋萎縮性側索硬化症〈ALS〉を考える。ALSの陰性症状に関する古典的な出題。

【選択肢考察】
a 褥瘡は陰性症状の1つである。
b 眼球運動障害は(古典的な)陰性症状の1つである。
c 膀胱直腸障害は陰性症状の1つである。
d 正しい。呼吸筋麻痺に至り、人工呼吸器の導入が必要になる症例が多い。
e ALSでは自律神経障害を認めない。

正答率:97%

テーマ:筋萎縮性側索硬化症〈ALS〉の陰性症状

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