118A59

62歳の女性。出血斑を主訴に来院した。数か月前から四肢の出血斑に気付いた。最近、前胸部に点状出血が多数出現したため受診した。意識は清明。体温36.2℃。脈拍68/分、整。血圧118/72mmHg。前胸部と四肢に点状出血を認める。眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない。頸部リンパ節を触知しない。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。血液所見:赤血球360万、Hb 11.0g/dL、Ht 33%、白血球5,100(好中球53%、好酸球2%、単球6%、リンパ球39%)、血小板2.6万。PT-INR 1.0(基準0.9~1.1)、活性化部分トロンボプラスチン時間〈APTT〉30秒(基準対照32.2)、血清FDP 5μg/mL(基準10以下)。血液生化学所見:総ビリルビン1.0mg/dL、直接ビリルビン0.2mg/dL、LD 210U/L(基準124~222)、尿素窒素20mg/dL、クレアチニン0.7mg/dL。末梢血塗抹標本で白血球と赤血球とに異常を認めない。骨髄塗抹標本で巨核球の軽度増加を認める。造血細胞に形態異常を認めない。
治療方針の決定に有用な検査はどれか。
尿素呼気試験
血小板凝集能検査
抗リン脂質抗体検査
組織適合抗原〈HLA〉検査
抗ADAMTS-13抗体検査

解答: a

118A59の解説

【ポイント】
点状出血と血小板2.6万より、血小板減少による出血傾向を考える。PT-INR、APTTは正常値であるため、2次止血は問題なさそうだ。骨髄塗抹標本で巨核球の軽度増加を認めており、免疫性血小板減少性紫斑病〈ITP〉が疑わしい。

【選択肢考察】
a 正しい。ピロリ菌感染はITPの原因となるため、これを確認する。陽性の場合、除菌療法へと進む。
b 血小板機能の異常は本症例では考えにくい。
c 抗リン脂質抗体症候群〈APS〉を疑った場合に実施する。
d 造血幹細胞移植を考慮した場合、事前に行う。
e 血栓性血小板減少性紫斑病〈TTP〉を疑った場合に実施する。

正答率:93%

テーマ:免疫性血小板減少性紫斑病〈ITP〉の治療方針決定に有用な検査

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