118A58

1か月の男児。生後20日頃から母乳を飲むのに時間がかかるようになったことを母親が心配し、両親に連れられて自宅近くの小児科診療所を受診した。在胎40週、身長49.5cm、体重2,850g、頭囲33cmで、仮死なく出生した。出生後は完全母乳栄養である。身長54.0cm、体重3,320g。体温36.8℃。脈拍124/分、整。呼吸数40/分。啼泣時の表情は正常だが、声が小さく舌が細かくぴくぴくと震えている。呼吸時に胸部と腹部が交互に上がる。手指の動きは正常だが、四肢を持ち上げる運動に乏しい。
両親への説明で正しいのはどれか。
「人工乳に変えましょう」
「感冒薬を服用しましょう」
「専門の病院に紹介しましょう」
「1か月後に再受診してください」
「うつ伏せにして寝かせましょう」

解答: c

118A58の解説

【ポイント】
「舌が細かくぴくぴくと震えている」のは線維束性攣縮を示唆する。「呼吸時に胸部と腹部が交互に上がる」のは所謂シーソー様呼吸だ。「手指の動きは正常だが、四肢を持ち上げる運動に乏しい」という記載からは近位筋優位の障害と予想され(本疾患は神経疾患にも関わらず近位筋が障害されやすい例外的なものとして有名だ)、Werdnig-Hoffman病〈SMA-I〉を疑う。

【選択肢考察】
a 母乳栄養が原因となっている病態ではない。
b 感染症ではない。
c 正しい。専門病院にて精査が望まれる。
d 介入が望まれるタイミングである。経過観察は望ましくない。
e 乳幼児突然死症候群〈SIDS〉のリスクである。

正答率:98%

テーマ:Werdnig-Hoffmann病児の両親への説明

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