118A57

74歳の男性。腹痛と嘔吐を主訴に救急車で搬入された。前日から腹痛があり食事を摂れなかった。早朝から嘔吐があったため救急車を要請した。28歳時に十二指腸潰瘍の治療歴がある。顔貌は苦悶様。身長160cm、体重50kg。体温37.2℃。心拍数144/分、整。血圧86/60mmHg。呼吸数22/分。SpO2 99%(マスク5L/分 酸素投与下)。皮膚は湿潤し冷汗あり。眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない。口腔内は乾燥している。心音に異常を認めない。腹部は板状硬で筋性防御を認める。血液所見:赤血球599万、Hb 19.0g/dL、Ht 55%、白血球12,000(分葉核好中球87%、好酸球0%、好塩基球0%、単球2%、リンパ球11%)、血小板19万、PT-INR 1.2(基準0.9~1.1)。血液生化学所見:総蛋白5.6g/dL、アルブミン3.3g/dL、総ビリルビン0.7mg/dL、AST 24U/L、ALT 18U/L、LD 204U/L(基準124~222)、ALP 46U/L(基準38~113)、γ-GT 29U/L(基準13~64)、アミラーゼ235U/L(基準44~132)、CK 632U/L(基準59~248)、尿素窒素33mg/dL、クレアチニン2.2mg/dL、尿酸16.4mg/dL、血糖206mg/dL、HbA1c 6.0%(基準4.9~6.0)、Na 137mEq/L、K 4.4mEq/L、Cl 98mEq/L、Ca 8.7mg/dL。CRP 40mg/dL。肺野条件の腹部CTを別に示す。
必要な対応はどれか。
胃洗浄
緊急手術
血液透析
イレウス管挿入
胸腔ドレナージ

解答: b

118A57の解説

【ポイント】
腹部は板状硬で筋性防御を認めており、炎症所見も強い(白血球12,000〔分葉核好中球87%〕、CRP 40mg/dLなど)。腹部CTにてfree airと腹水を同定し、穿孔性腹膜炎の診断となる。治療歴から、十二指腸潰瘍由来の穿孔と判断しよう。CK上昇は炎症が腹部の筋へ波及した可能性や脱水の影響、アミラーゼの上昇は(膵炎合併の可能性もあるが)十二指腸穿孔部から漏出した十二指腸液由来と考えられる。

【選択肢考察】
a 穿孔部から液漏れし、腹膜炎が悪化しかねない。
b 正しい。緊急手術が必要な状況である。
c 消化管穿孔への根本的な対処になっていない。
d 本症例は腸閉塞ではない。
e 病変の首座は胸腔ではない。

正答率:98%

テーマ:消化管穿孔への対応

フォーラムへ投稿

関連トピック

なし