118A54

45歳の女性。突然の胸痛のため救急車で搬入された。本日、夕食後に前胸部に強い痛みが出現した。横になって安静にしていたが、30分たっても症状が改善しないため家族が救急車を要請した。3歳時に発熱と皮疹で入院した(詳細不明)。5年前から毎年、健康診断を受けていたが、異常を指摘されていない。喫煙歴と飲酒歴はない。意識は清明。身長162cm、体重47kg。体温36.7℃。心拍数96/分、整。血圧146/88mmHg。呼吸数24/分。SpO2 95%(room air)。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。免疫血清学所見:心筋トロポニンT迅速検査陽性。搬入時の12誘導心電図は、下壁誘導でST低下を認める。右冠動脈造影像を別に示す。
冠動脈病変の原因はどれか。
川崎病
Buerger病
高安動脈炎
Marfan症候群
たこつぼ心筋症

解答: a

118A54の解説

【ポイント】
30分たっても症状が改善しない強い胸痛。心筋トロポニンT迅速検査陽性、12誘導心電図における下壁誘導でST低下、右冠動脈造影像における2か所の狭窄と近位部の冠動脈瘤から急性心筋梗塞〈AMI〉と考えられる。ポイントは「3歳時に発熱と皮疹で入院」という記載。背景には川崎病の存在が考えやすい。

【選択肢考察】
a 正しい。上記の通り。
b 男性に多く、下肢の血管が障害されやすい。
c 発熱や心雑音(大動脈弁輪拡大による大動脈弁閉鎖不全症〈AR〉)がみられるはず。
d 高身長を呈するはず。ほかにも長い手足や水晶体(亜)脱臼といったキーワードが欲しいところ。
e ST上昇をみる。そもそも冠動脈瘤や冠動脈狭窄の合併はない。

正答率:96%

テーマ:川崎病の診断(冠動脈瘤)

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