118A49

64歳の男性。胸痛と呼吸困難を主訴に救急車で搬入された。前夜に飲酒し早朝の清掃作業中に悪心と嘔吐があった。その後、胸痛と呼吸困難が突然出現したため同僚が救急車を要請した。胸痛は深呼吸で増強する。36歳時に胃潰瘍。意識は清明。顔貌は苦悶様。身長170cm、体重62kg。体温36.0℃。心拍数98/分、整。血圧152/104mmHg。呼吸数24/分。SpO2 98%(リザーバー付マスク10L/分 酸素投与下)。皮膚は湿潤し冷汗あり。眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない。口腔内は乾燥し吐物付着あり。心音に異常を認めない。左呼吸音が減弱している。腹部に異常を認めない。血液所見:赤血球460万、Hb 17.6g/dL、Ht 52%、白血球19,000、血小板36万。血液生化学所見:総蛋白6.7g/dL、総ビリルビン0.5mg/dL、AST 19U/L、ALT 13U/L、尿素窒素13mg/dL、クレアチニン0.6mg/dL、血糖98mg/dL。CRP 1.1mg/dL。心電図に異常を認めない。仰臥位の胸部エックス線写真(A)と胸部単純CT(B)を別に示す。
最も考えられる診断はどれか。
胃食道逆流症
大動脈瘤破裂
食道アカラシア
Boerhaave症候群
Mallory-Weiss症候群

解答: d

118A49の解説

【ポイント】
「前夜に飲酒」→「悪心と嘔吐」という典型的エピソードからはMallory-Weiss症候群またはBoerhaave症候群〈特発性食道破裂〉を疑う。「胸痛と呼吸困難」を呈しており、白血球19,000と強い炎症所見を伴うこと、画像にて左肺野透過性低下(A)、左気胸(B)がみられていることを総合し、Boerhaave症候群の診断となる。

【選択肢考察】
a 突発する病態ではない。また「胸焼け」や「呑酸」といった記載が欲しい。
b 背部痛の記載が欲しい。また、画像でそもそも大動脈瘤(ないしその破裂)を同定できない。
c 突発する病態ではない。また「嚥下障害」などの記載が欲しい。
d 正しい。上記の通り。
e Mallory-Weiss症候群は全層性ではないため、気胸はみない。

正答率:94%

テーマ:Boerhaave症候群の診断

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