118A46

61歳の男性。右胸痛を主訴に来院した。3か月前から胸痛を自覚していたが、1週間前から痛みが増強したため受診した。体温36.9℃。脈拍84/分、整。血圧132/80mmHg。呼吸数16/分。SpO2 95%(room air)。心音に異常を認めない。右呼吸音の減弱を認める。血液所見:赤血球471万、Hb 11.0g/dL、Ht 36%、白血球9,200、血小板58万。血液生化学所見:SCC 0.7ng/mL(基準1.5以下)、ProGRP 23.8pg/mL(基準81以下)。CRP 17mg/dL。胸膜生検でカルレチニン免疫組織化学染色が陽性である悪性細胞を認めた。胸部エックス線写真(A)とFDG-PET/CT像(B)を別に示す。
この疾患で誤っているのはどれか。
上皮型が最も多い。
予後は不良である。
CEAは正常値である。
胸水中ヒアルロン酸は高値である。
アスベスト曝露後5年前後で発症する。

解答: e

118A46の解説

【ポイント】
画像Aにて右胸腔の減少が、画像Bにて右胸膜への集積が指摘できる。これゆえの「右呼吸音の減弱」なのであろう。カルレチニン免疫組織化学染色が陽性である悪性細胞を認めたことと合わせ、胸膜中皮腫の診断。

【選択肢考察】
a 上皮型・肉腫型・二相型の3つがあるも、上皮型が最多。
b 予後は不良だ。
c CEA上昇は胸膜中皮腫ではみられないため、正しい記載となる。「正常値である」の正誤を判断させる問題は往々にして厳しく、本問でも6%の者が選択してしまった。主体性を持たずに「へ〜、そういうもんなのかな?」のように他人の意見に左右されやすい者がこうした選択肢を何となくで選んで失点する印象。受験時間中の主役はあなただ。他の誰でもない。これまで積み重ねてきた勉強を信じ、確固たる覚悟を持って1つ1つの選択肢を吟味するようにしたい。
d 胸水中ヒアルロン酸高値は有名な所見。
e 誤り。アスベスト曝露後、発症までは数十年を要する。

正答率:91%

テーマ:胸膜中皮腫について

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