118A37

7歳の男児。右前腕の痛みと右手指の運動障害を主訴に母親に連れられて夜間に来院した。同日午前にブランコから転落して右肘を強打し受診していた。診療記録によると右肘に腫脹と変形が認められ、エックス線写真で右上腕骨顆上骨折を認め、徒手整復とシーネ固定を施行していた。帰宅8時間後に疼痛が増強し、右手指の運動ができなくなったため再度受診した。身長110cm、体重19kg。シーネの包帯を外して観察すると、右前腕に著しい腫脹を認めた。右手指は自動屈伸ができず、他動伸展すると激しい痛みを訴える。橈骨動脈の拍動を触知しない。
この患児への対応で適切なのはどれか。
筋膜切開
牽引治療
ギプス固定
手指の可動域訓練
骨折の観血的整復固定

解答: a

118A37の解説

【ポイント】
「上腕骨顆上骨折→シーネ固定→帰宅に疼痛が増強→手指の運動ができなくなった」という典型的エピソードから、コンパートメント〈区画〉症候群およびVolkmann拘縮を考える。

【選択肢考察】
a 正しい。コンパートメント症候群に対する適切な治療である。
b 「他動伸展すると激しい痛みを訴える」と書いてあるにもかかわらず、牽引をするとなると、その痛みは計り知れない。
c むしろ固定が本病態の発生リスクである。
d 「他動伸展すると激しい痛みを訴える」と書いてあるにもかかわらず、可動域訓練をするとなると、その痛みは計り知れない。
e 今、問題となっているのは骨折ではない。

正答率:99%

テーマ:コンパートメント症候群への対応

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