118A36

64歳の女性。息苦しさを主訴に来院した。15年前から高血圧症と糖尿病を指摘されていたが、医療機関を受診しなかった。2か月前に発熱で自宅近くの診療所を受診し、腎機能障害を指摘された。3週間前から食欲がなく果物だけ食べていた。一昨日の夜間就寝後から息苦しさを自覚したため受診した。意識は清明。身長166cm、体重75kg(2か月前は70kg)。脈拍92/分、整。血圧190/110mmHg。呼吸数20/分。SpO2 90%(room air)。両下肺野にcoarse cracklesを聴取する。両下腿に高度の圧痕性浮腫を認める。尿所見:蛋白3+、糖2+、潜血(-)。随時尿の尿蛋白188mg/dL、クレアチニン87mg/dL。血液所見:赤血球335万、Hb 9.0g/dL、Ht 31%。血液生化学所見:総蛋白5.3g/dL、アルブミン2.8g/dL、尿素窒素56mg/dL、クレアチニン3.9mg/dL、尿酸6.8mg/dL、血糖263mg/dL、HbA1c 8.6%(基準4.9〜6.0)、Na 140mEq/L、K 6.7mEq/L、Cl 106mEq/L、Ca 7.2mg/dL、P 5.6mg/dL。胸部エックス線写真で心拡大と肺うっ血を認める。心電図でテント状T波を認める。
この患者にまず投与すべき薬剤はどれか。
SGLT2阻害薬
アルブミン製剤
グルコン酸カルシウム
エリスロポエチン製剤
アンジオテンシン受容体拮抗薬

解答: c

118A36の解説

【ポイント】
腎機能障害(クレアチニン3.9mg/dL)の背景下に「果物だけ食べていた」(カリウムを多く摂取した)とのことで、これによりK 6.7mEq/Lという高カリウム血症を呈してしまったのだろう。これにより心電図でテント状T波がみられている。致死的不整脈が出現しかねない危険な状況だ。

【選択肢考察】
a 糖尿病や腎・心保護目的に有効。高カリウム血症に対して即効で投与することで功を奏する性質のものではない。
b 確かに低アルブミン血症がみられているも、緊急性はない。
c 正しい。グルコン酸カルシウム投与により、致死的不整脈を予防する。
d 確かに貧血がみられているも、緊急性はない。
e 慢性腎臓病などに有効。緊急性はない。

正答率:98%

テーマ:高カリウム血症にまず投与すべき薬剤

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