118A32

70歳の男性。全身倦怠感を主訴に来院した。2週間前から全身倦怠感が出現し軽快しないため受診した。眼瞼結膜は貧血様で、眼球結膜に黄染を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。両下肢に点状出血を認める。血液所見:赤血球174万、Hb 5.4g/dL、Ht 16%、網赤血球1%、白血球1,800(分葉核好中球20%、好酸球1%、単球2%、リンパ球77%)、血小板2.2万。血液生化学所見:総蛋白6.2g/dL、アルブミン3.2g/dL、総ビリルビン0.6mg/dL、AST 28U/L、ALT 34U/L、LD 140U/L(基準124〜222)、尿素窒素12mg/dL、クレアチニン0.7mg/dL。末梢血塗抹標本で赤血球に異常を認めない。骨髄生検では著明な低形成所見を認める。
治療で適切でないのはどれか。
血漿交換
赤血球輸血
抗胸腺細胞グロブリン〈ATG〉投与
トロンボポエチン受容体作動薬投与
顆粒球コロニー刺激因子〈G-CSF〉投与

解答: a

118A32の解説

【ポイント】
汎血球減少があり、「網赤血球1%」からは産生自体が低下していることが読み取れる。「骨髄生検では著明な低形成所見を認める」という記載から再生不良性貧血〈AA〉を考えよう。与えられた血液検査所見からはstage4(重症)となり、厳密に本問に正答するためにはこのステージングが必要なのだが、血液領域によらず(いつガイドライン改訂で変更になってしまうかもわからない)細かな数値を覚え込むのは現代国試の流れからは外れているように感じる。余力のある者のみでよいだろう。覚えていなかった場合、消去法などを駆使し、確率論の観点から勝つための戦略を練ることとなる(筆者的にはそれで十分に思う)。

【選択肢考察】
a 誤り。AAに対し、血漿交換は有効でない。
b 貧血に対し、赤血球輸血が有効。
c stage2b以降にて有効。
d stage2b以降にて有効。
e 好中球減少に対し、G-CSF投与が有効。

正答率:89%

テーマ:再生不良性貧血〈AA〉の治療

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