118A22

57歳の男性。発熱を主訴に来院した。2週間前から38℃前後の発熱と悪寒があり、自宅近くの診療所を受診した。解熱薬が処方されたが、その後も発熱が続き、労作時の息苦しさを自覚するようになったため救急外来へ紹介受診となった。10年前から糖尿病で内服加療中。約1か月前からう歯の治療中。アレルギー歴はない。意識は清明。体温38.2℃。脈拍104/分、整。血圧136/82mmHg。呼吸数26/分。SpO2 94%(room air)。心尖部を最強点とするLevine 3/6の汎〈全〉収縮期雑音を聴取する。呼吸音に異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。下肢に浮腫を認める。右手掌に有痛性皮疹を認めた。血液所見:赤血球478万、Hb 14.0g/dL、Ht 41%、白血球13,400、血小板15万。血液生化学所見:尿素窒素32mg/dL、クレアチニン1.3mg/dL、血糖175mg/dL、HbA1c 8.1%(基準4.9〜6.0)、Na 134mEq/L、K 4.2mEq/L。CRP 12mg/dL。胸部エックス線写真で心胸郭比は56%であり、肺血管陰影の増強を認める。心電図は洞性頻脈。心エコー図傍胸骨長軸像(A)とカラードプラ心エコー図傍胸骨長軸像(B)を別に示す。血液培養2セットからともに緑色連鎖球菌〈viridans streptococci〉が検出された。
薬剤感受性試験結果を待つ間に投与する抗菌薬で適切なのはどれか。
ミノサイクリン
リファンピシン
レボフロキサシン
クラリスロマイシン
ベンジルペニシリン

解答: e

118A22の解説

【ポイント】
糖尿病という易感染性の背景がある患者。糖尿病患者はう歯になりやすく、約1か月前からの治療エピソードも頷ける。う歯治療からの2週間続く発熱と悪寒、と来たら感染性心内膜炎〈IE〉であろう。「心尖部を最強点とするLevine 3/6の汎〈全〉収縮期雑音」はIEに伴う僧帽弁閉鎖不全症〈MR〉を示唆する。MRは画像A(M弁が閉じていない)と画像B(左室→左房への逆流)からも確認可能。また画像BではM弁に付着した疣贅も指摘できる。「血液培養2セットからともに緑色連鎖球菌〈viridans streptococci〉が検出された」とのことで、薬剤感受性試験結果を待つ間には緑色連鎖球菌への第一選択となる抗菌薬を採用する。

【選択肢考察】
a テトラサイクリン系抗菌薬。
b 抗結核薬。
c ニューキノロン系抗菌薬。
d マクロライド系抗菌薬。
e 正しい。緑色連鎖球菌に対して第一選択薬となるのはペニシリン系抗菌薬である。

正答率:86%

テーマ:感染性心内膜炎〈IE〉の薬剤感受性試験結果を待つ間に投与する抗菌薬

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