117F56

75歳の男性。血痰を主訴に来院した。血痰は3か月前から出現し、最近、量、回数ともに増加している。生来健康で、昨年の検診では異常を指摘されなかった。体温36.0℃。脈拍76/分、整。血圧128/72mmHg。呼吸数16/分。SpO2 97%(room air)。胸痛はない。呼吸音に異常を認めない。口腔内と咽頭とに異常を認めない。胸部エックス線写真と胸部CTで異常を認めない。
次に行う検査として正しいのはどれか。2つ選べ
喀痰細胞診
縦隔鏡検査
気管支鏡検査
胸腔鏡下肺生検
肺動脈造影検査

解答: a,c

117F56の解説

【プロセス】
①75歳の男性
②3か月前から血痰
③生来健康で、昨年の検診では異常を指摘されなかった
④体温36.0℃
⑤胸部エックス線写真と胸部CTで異常を認めない
☞高齢者の比較的長期にわたる血痰(①②)。④より結核などの感染症は否定的。③⑤より、ここ最近発生した、画像では見えないような小さな病変が原因と考えられる。①からは原発性肺癌などが候補として挙げられる。

【選択肢考察】
a 正しい。腫瘍が存在した場合、そこからこぼれ落ちた細胞を拾うことができる。無侵襲で実施できる検査であるため、このタイミングにふさわしい検査と言えよう。
b 縦隔は気管との交通がないため、血痰はみられない。気管内の病変が浸潤して縦隔に到達している可能性もゼロではないが、最初から浸潤先を評価するというのも変な話である。
c 正しい。気管支鏡で肺癌などの有無を確認したい。
d 画像上、肺野に病変が見つからないので、そもそもの生検対象がない。
e 肺血栓塞栓症や肺動静脈瘻の精査に有効。どこからか分からない出血に対して行うべき検査ではない。

正答率:85%

テーマ:3か月前から血痰をみる高齢男性に行う検査

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