117F50

76歳の女性。嗄声を主訴に来院した。3か月前から声がかすれることに気付いた。様子をみていたが症状が改善しないため受診した。高血圧症、脂質異常症で自宅近くの診療所に通院中である。喫煙は10本/日を40年間。2年前から禁煙している。意識は清明。体温36.2℃。脈拍76/分、整。血圧142/78mmHg。呼吸数18/分。SpO2 98%(room air)。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。下腿浮腫なし。血液所見:赤血球391万、Hb 12.7g/dL、Ht 36%、白血球8,300、血小板23万。血液生化学所見:総蛋白7.2g/dL、アルブミン3.5g/dL、総ビリルビン0.5mg/dL、AST 25U/L、ALT 17U/L、尿素窒素21mg/dL、クレアチニン1.1mg/dL。CRP 0.1mg/dL。5年前と今回受診時の胸部エックス線写真を別に示す。
次に行う検査として最も正しいのはどれか。
胸部CT
胸腔鏡検査
気管支鏡検査
呼吸機能検査
冠動脈造影カテーテル検査

解答: a

117F50の解説

【プロセス】
①76歳の女性
②3か月前から嗄声
③5年前の胸部エックス線写真にて左上肺野に腫瘤影
④今回受診時の胸部エックス線写真にて③が増大
☞大動脈弓には反回神経が通過するため、④のような腫瘤性病変の存在によって②が出現しやすい。高齢者(①)であり、癌も一応は鑑別に挙がるが、悪性腫瘍が無症状で5年弱もの経過を取ることは稀であり、腫瘍であったとしても良性(ないしはその悪性転化)であろう。本命は大動脈瘤。高血圧症や脂質異常症、喫煙歴等も合致する。いずれにせよ何が原因となっているか分からないので、詳細を画像的に観察したい。

【選択肢考察】
a 正しい。胸部CTで腫瘤性病変を観察する。
b 侵襲の強い検査であり、現時点では行わない。
c 侵襲の強い検査であり、現時点では行わない。
d 閉塞性障害や拘束性障害を評価する検査であり、腫瘤性病変の精査には不向き。
e 虚血性心疾患等に対して行われる。

正答率:98%

テーマ:胸部腫瘍の精査目的に行うべき検査

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