117F49

82歳の女性。食欲と活動性の低下を主訴に来院した。3日前から食欲が低下し、当日の朝はいつもの時間に起床できなかったため、心配した家族に連れられて受診した。お薬手帳によると、自宅近くの診療所で1年以上前からアンジオテンシン変換酵素〈ACE〉阻害薬、カルシウム拮抗薬、ビスホスホネート製剤およびNSAIDの処方を受けており、1週間前からベンゾジアゼピン系睡眠薬が追加されていた。意識レベルはJCS I-1から2程度。体温36.0℃。脈拍64/分、整。血圧160/96mmHg。呼吸数16/分。血液所見:赤血球350万、Hb 10.2g/dL、Ht 32%、白血球6,200、血小板22万。血液生化学所見:総蛋白6.0g/dL、アルブミン3.6g/dL、総ビリルビン0.6mg/dL、AST 30U/L、ALT 13U/L、LD 220U/L(基準120~245)、ALP 83U/L(基準38~113)、γ-GT 13U/L(基準8~50)、尿素窒素29mg/dL、クレアチニン2.1mg/dL、血糖102mg/dL、Na 132mEq/L、K 6.0mEq/L、Cl 93mEq/L、Ca 11.5mg/dL。精査のため入院することとなった。
入院後も継続可能な薬剤はどれか。
NSAID
カルシウム拮抗薬
ビスホスホネート製剤
ベンゾジアゼピン系睡眠薬
アンジオテンシン変換酵素〈ACE〉阻害薬

解答: b

117F49の解説

【プロセス】
①82歳の女性
②食欲と活動性の低下
③5剤併用中
④いつもの時間に起床できない・意識レベルJCS-I-1〜2
⑤アルブミン3.6g/dL
⑥クレアチニン2.1mg/dL
⑦K 6.0mEq/L
⑧Ca 11.5mg/dL
☞選択肢の数(a〜eの5つ)どおり内服中の高齢者(①③)で薬剤について検討する、という典型問題。⑤⑧より補正カルシウム濃度は11.9mg/dLと高値。⑥より腎機能低下が、⑦より高カリウム血症が、それぞれ指摘できる。これらの電解質異常が中心となって②④を生じせしめているのだろう。

【選択肢考察】
a NSAIDには腎機能を低下させる副作用がある。
b 正しい。カルシウム拮抗薬は主に肝排泄性であり、本患者にも継続が可能。
c ビスホスホネート製剤は早朝空腹時に服用し、合併症である食道潰瘍を予防すべく、服用後は座位または立位を保つことが必要となる。④をみるに、この患者には内服が困難。
d ベンゾジアゼピン系睡眠薬は意識レベルを低下させるため、④の状態の患者には使いたくない。
e アンジオテンシン変換酵素〈ACE〉阻害薬の副作用には高カリウム血症があり、⑦より継続は不可。

正答率:69%

テーマ:継続可能な薬剤・中止すべき薬剤

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