117F47

53歳の男性。胸痛と悪心を主訴に救急車で搬入された。本日午前4時から胸痛と悪心が出現した。午前8時ごろまで我慢していたが、症状が改善しないため救急車を要請した。15年前から糖尿病、脂質異常症で自宅近くの診療所に通院している。喫煙は10本/日を33年間。身長168cm、体重75kg。心拍数72/分、整。血圧126/60mmHg。呼吸数14/分。SpO2 98%(リザーバー付マスク10L/分 酸素投与下)。心音と呼吸音とに異常を認めない。来院時の12誘導心電図で、前胸部誘導にST上昇を認めた。経胸壁心エコー検査で前壁中隔の壁運動低下を認め、左室駆出率は40%であった。心筋トロポニンT迅速検査が陽性で急性前壁梗塞と診断した。緊急冠動脈造影で左前下行枝に完全閉塞、左回旋枝に50%の狭窄を認めたため、引き続き経皮的冠動脈形成術が行われ、左前下行枝にステントを留置した。血清CKの最高値は、2,230U/L(発症8時間後)(基準30~140)であった。
今後の心臓リハビリテーションの説明で適切なのはどれか。2つ選べ
「食事やお薬についても勉強していきましょう」
「リハビリは左回旋枝の治療が終了してから開始します」
「治療後2週間はベッド上の安静臥床を守る必要があります」
「心拍数が130/分程度に増加する負荷をかけていきましょう」
「胸痛や息切れが出現するようであればリハビリの強度を上げません」

解答: a,e

117F47の解説

【プロセス】
①急性前壁梗塞と診断(左前下行枝に完全閉塞、左回旋枝に50%の狭窄)
②左前下行枝にステントを留置
☞①よりすでに診断はついている。今後の心臓リハビリテーションについて考察する問題。回答にあたっては模範的な選択肢上位2つを選べばよく、実戦的には本文を一切読まなくても正答可能。

【選択肢考察】
a 正しい。適切な食事療法や薬物治療が有効。
b ①より左回旋枝は50%狭窄であるため、現時点ではステント留置の必要性に乏しい(75%以上の有意狭窄から)。②より完全閉塞した前下行枝への施術は終了しており、リハビリはすみやかに開始してよい。
c 2週間ものベッド上安静は必要ない。できることから少しずつリハビリを開始し、早期離床を目指す。
d 諸説あるが、一般に健常人がダイエット等で脂肪燃焼を行いたい時、トレッドミルなどで心拍数130/分程度に保つと効果が高いと言われる(一度体験してみれば分かるが相当しんどい負荷レベル)。逆に言えば、病み上がりの患者には負荷が高すぎ、現実的でない。
e 正しい。胸痛や息切れが出現するということは身体がその負荷に追いついていないということだ。その場合には無理にリハビリの強度を上げるべきではない。

正答率:97%

テーマ:AMI後の心臓リハビリテーションの説明

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