117F46

40歳の女性。食後、数時間で起こる動悸、発汗および手の震えを主訴に来院した。症状は朝食後の外出時に経験することが多く、摂食で改善する。身長160cm、体重65kg。体温36.1℃。脈拍64/分、整。血圧128/84mmHg。甲状腺腫と頸部リンパ節とを触知しない。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。尿所見:蛋白(-)、糖(-)。血液生化学所見:総ビリルビン0.6mg/dL、AST 32U/L、ALT 48U/L、尿素窒素18mg/dL、クレアチニン0.5mg/dL、空腹時血糖112mg/dL、HbA1c 5.6%(基準4.6~6.2)。
この患者の症状出現時に増加していることが予想されるホルモンはどれか。3つ選べ
グルカゴン
アドレナリン
コルチゾール
サイロキシン
アルドステロン

解答: a,b,c

117F46の解説

【プロセス】
①食後、数時間で起こる動悸、発汗および手の震え
②症状は朝食後の外出時に経験することが多く、摂食で改善
③空腹時血糖112mg/dL、HbA1c 5.6%
☞①から食事と関連した交感神経症状がみられている。②からは低血糖であることが予想される。③から糖尿病の診断はできない。胃全摘等の既往がないため、ダンピング症候群も否定的。総合的に考え、反応性低血糖が考えやすい。何かしらの疾患の前駆となることもあれば、体質的な理由もあるが、食後のインスリン分泌が過剰となっているため、血糖値が下がりすぎてしまうのである。

【選択肢考察】
a 正しい。低血糖に代償すべく、血糖上昇ホルモンであるグルカゴン分泌が亢進する。
b 正しい。①からも読み取れるように、低血糖時にはアドレナリン分泌が亢進し、交感神経系が活性化する。
c 正しい。低血糖に代償すべく、血糖上昇ホルモンであるコルチゾール分泌が亢進する。
d サイロキシン(甲状腺ホルモン)にも血糖上昇作用はあるが、本ホルモンの血中半減期は約5日であり、食後数時間で増加はしない。
e アルドステロンは糖代謝への直接的な関係をもたない。アルドステロン高値により血中カリウムが低下し、細胞内への血糖取り込みが低下し、血糖上昇するという間接的作用はあるが、食後数時間にみられた低血糖を是正すべく分泌亢進する類の性質はない。

正答率:87%

テーマ:低血糖発作時に増加が予想されるホルモン

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