117F43

45歳の女性。日中のだるさを主訴に来院した。第1子の出産後から体重が増え、10年で10kg増加した。健診を受けたことはない。喫煙歴はない。飲酒は機会飲酒。就労はしておらず、運動習慣はない。身長152cm、体重65kg。血圧144/92mmHg。尿所見:蛋白(-)、糖3+、ケトン体(-)、潜血(-)。血液生化学所見:総蛋白7.4g/dL、アルブミン4.0g/dL、尿素窒素14mg/dL、クレアチニン0.7mg/dL、尿酸7.2mg/dL、血糖188mg/dL、HbA1c 8.2%(基準4.6~6.2)、総コレステロール252mg/dL、トリグリセリド220mg/dL、HDLコレステロール36mg/dL、Na 135mEq/L、K 4.6mEq/L、Cl 101mEq/L。12誘導心電図で異常を認めない。
食事療法の内容で正しいのはどれか。
食塩摂取量を10g/日未満とする。
蛋白質摂取量を35g/日未満とする。
脂質は飽和脂肪酸を50g/日以上とする。
総エネルギー摂取量を1,800kcal/日とする。
総エネルギー摂取量の40~60%を炭水化物由来とする。

解答: e

117F43の解説

【プロセス】
与えられた情報から、適切な食事療法の内容を考察する問題。身長152cmより、標準体重は1.52×1.52×22≒50.8→50kg。「就労はしておらず、運動習慣はない」とのことで、本患者の1日必要カロリーは25×50=1,250kcal程度と推測される。

【選択肢考察】
a 血圧144/92mmHgと高血圧があるため、食塩摂取量は6g/日未満とする。
b 理想的なPFCバランスはProtein:Fat:Carbo=15:25:60程度であるため、1日に必要な蛋白質は1,250×0.15=187.5kcal/日。蛋白質は4kcal/gであるため、これは46.875→約50g弱/日となる。そのため、35g/日未満は少ない。
c 理想的なPFCバランスはProtein:Fat:Carbo=15:25:60程度であるため、1日に必要な脂質は1,250×0.25=312.5kcal/日。脂質は9kcal/gであるため、これは34.722...→約35g/日となる。そのため、50g/日以上は多すぎる。このように飽和か不飽和か、という議論を回避しても本選択肢は解決可能だ。より厳密にやるなら、飽和脂肪酸:一価不飽和脂肪酸:多価不飽和脂肪酸=3:4:3で摂取するのがよいとされるため、必要な飽和脂肪酸は上記35gの30%である10g強である。「飽和脂肪酸50g/日以上」がいかに多すぎるか、イメージが湧けば幸い。
d 冒頭で延べたように、総エネルギー摂取量は1,250kcal/日程度がよい。
e 正しい。総エネルギー摂取量の40~60%を炭水化物由来とするのが推奨されている。

正答率:95%

テーマ:中年の肥満女性への食事療法の内容

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