117F41

57歳の男性。定期受診で来院した。30歳時に2型糖尿病および高血圧症と診断され、自宅近くの総合病院に通院している。腎機能が徐々に悪化したため、1か月前に妻から生体腎移植を受けた。インスリン注射、降圧薬と複数の免疫抑制薬が処方されている。身長175cm、体重65kg。脈拍72/分、整。血圧126/70mmHg。頸部と胸部とに異常を認めない。腹部に手術痕を認める。両側アキレス腱反射は消失している。尿所見:蛋白(-)、潜血(-)。血液所見:赤血球350万、Hb 10.0g/dL、Ht 30%、白血球6,200、血小板35万。血液生化学所見:尿素窒素25mg/dL、クレアチニン0.7mg/dL、eGFR 89.8mL/分/1.73m2、HbA1c 6.9%(基準4.6~6.2)、Na 143mEq/L、K 4.8mEq/L、Cl 105mEq/L。
この患者への説明で適切なのはどれか。
妻の定期受診は不要である。
海外旅行に行くことはできない。
インフルエンザワクチンは接種できない。
定期的な悪性腫瘍スクリーニングが必須である。
移植を受けた患者の半数で移植10年後に再び透析が必要になる。

解答: d

117F41の解説

【プロセス】
①腎機能が徐々に悪化したため、1か月前に妻から生体腎移植を受けた
②複数の免疫抑制薬が処方されている
☞腎移植後の患者(①)への説明。一般知識が問われているため、選択肢と本文を見比べながらアプローチする。

【選択肢考察】
a 妻は1か月前に腎提供しているため、定期受診が望ましい。
b 旅行制限はない。
c 免疫抑制薬投与中の患者(②)に生ワクチンは使用できないが、インフルエンザワクチンは不活化ワクチンであるため、接種可能。
d 正しい。免疫抑制薬の使用(②)により腫瘍免疫が低下する等の機序により、腎移植後の患者には悪性腫瘍が発生しやすい。
e 生体腎移植10年後の生着率は80〜90%と高く、再び透析が必要になる可能性は低い。

正答率:71%

テーマ:生体腎移植後の定期受診で来院した患者への説明

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