117F40

57歳の女性。左下肢のむくみを主訴に来院した。約1年前から長時間の立ち仕事の際に両下肢の重さを自覚しており、約4か月前からは左下肢のむくみが出現した。15年前に子宮体癌の手術歴がある。体温36.0℃。脈拍72/分、整。血圧130/74mmHg。呼吸数16/分。SpO2 98%(room air)。頸静脈の怒張を認めない。甲状腺と頸部リンパ節を触知しない。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知せず、下腹部に手術瘢痕を認める。両下肢の写真を別に示す。左脛骨前面を母指で5秒間圧迫しても圧痕は生じない。
現時点で最も可能性が高いのはどれか。
下肢静脈瘤
リンパ浮腫
甲状腺機能低下症
ネフローゼ症候群
閉塞性動脈硬化症

解答: b

117F40の解説

【プロセス】
①57歳の女性
②左下肢のむくみ
③長時間の立ち仕事
④15年前に子宮体癌の手術歴
⑤両下肢の写真にて左に優位な腫大
⑥左脛骨前面を母指で5秒間圧迫しても圧痕は生じない
☞立ち仕事をしている中年女性(①③)にみられた片側性の非圧痕浮腫(②⑤⑥)。リンパ浮腫が考えやすい(④はそのリスクとなる)。

【選択肢考察】
a 下肢静脈瘤では圧痕性浮腫をみる。また画像上、静脈瘤は指摘できない。
b 正しい。上記の通り。
c 甲状腺機能低下症でも非圧痕性浮腫をみるが、両側性である。
d ネフローゼ症候群では両側性の圧痕性浮腫をみる。
e 閉塞性動脈硬化症〈ASO〉では主訴としての浮腫が前面に出ることは少ない(間欠性跛行や下肢の冷感・しびれが典型的な主訴)。

正答率:89%

テーマ:浮腫の鑑別

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