117F39

52歳の男性。労作時息切れと全身倦怠感を主訴に来院した。1か月前から両下腿の浮腫が出現し、1週間前から労作時息切れと全身倦怠感も自覚するようになったため受診した。15年前から高血圧症と糖尿病で治療を受けていたが、10か月前の転居を契機に受診を中断していた。身長176cm、体重85kg(2か月前は78kg)。脈拍92/分、整。血圧162/92mmHg。SpO2 95%(room air)。両下腿に圧痕性浮腫を認める。尿所見:蛋白3+、糖2+、ケトン体(-)、潜血(-)。随時尿の尿蛋白480mg/dL、クレアチニン80mg/dL。血液所見:赤血球310万、Hb 8.6g/dL、Ht 28%、白血球8,600、血小板12万。血液生化学所見:総蛋白5.2g/dL、アルブミン2.2g/dL、尿素窒素30mg/dL、クレアチニン1.6mg/dL、尿酸7.6mg/dL、血糖230mg/dL、HbA1c 8.0%(基準4.6~6.2)、Na 136mEq/L、K 5.8mEq/L、Cl 98mEq/L、Ca 7.6mg/dL、P 5.2mg/dL。胸部エックス線写真で心拡大と肺うっ血を認める。
この患者の治療で、まず投与すべきなのはどれか。
新鮮凍結血漿
赤血球濃厚液
ループ利尿薬
アルブミン製剤
維持輸液(組成:Na35mEq/L、K20mEq/L、Cl35mEq/L、グルコース5.0%)

解答: c

117F39の解説

【プロセス】
①1か月前から両下腿の浮腫
②1週間前から労作時息切れと全身倦怠感
③体重85kg(2か月前は78kg)
④尿蛋白3+・アルブミン2.2g/dL
⑤尿糖2+・血糖230mg/dL・HbA1c 8.0%
⑥胸部エックス線写真で心拡大と肺うっ血
☞⑤より糖尿病と診断できるため、①④(ネフローゼ症候群)は糖尿病性腎症によるものと考えられる。これにより、心不全と肺うっ血(⑥)を呈し、②がみられている可能性が高い。①③⑥より体内の水分貯留が読み取れるため、まずは利尿薬で除水を試みたい。

【選択肢考察】
a 新鮮凍結血漿は凝固因子を補うことを目的とする。
b 確かに貧血がみられているも、赤血球濃厚液を直ちに輸血せねばならないほど急速な失血はない。
c 正しい。上記の通り。
d 確かに低アルブミン血症がみられているも、心不全の存在下では心負荷を増大させる危険性があるため、現状の第一選択とはならない。
e 高カリウム血症がみられているため、カリウムが多く含まれる輸液製剤は避けるべきである。

正答率:91%

テーマ:うっ血性心不全にまず投与すべきもの

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