117E47

次の文を読み、以下の問いに答えよ。
22歳の男性。交通外傷のため救急車で搬入された。
現病歴:高速道路で乗用車運転中にガードレールに衝突した。乗用車は前方部分が大破し、エアバッグが作動していた。救急隊の観察結果から、搬送先の医師により酸素投与、静脈路確保および大量輸液が指示され、病院へ搬送された。
生活歴:大学生。アレルギー歴はない。
現 症:意識はJCS II-10。身長172cm、体重62kg。体温35.1℃。心拍数112/分、整。血圧98/62mmHg。呼吸数28/分。SpO2 90%(リザーバー付マスク10L/分 酸素投与下)。前額部に挫創を認める。眼瞼結膜はやや貧血様である。口周囲に吐物が付着している。発声は可能で気道は開通している。頸静脈の怒張と頸部気管の右側偏位を認める。左胸部において、視診で胸郭膨隆、触診で握雪感、打診で鼓音および聴診で呼吸音の消失を認める。上肢に冷汗、手掌に湿潤を認める。
最も優先すべき処置はどれか。
気管挿管
胸腔穿刺
昇圧薬投与
赤血球輸血
中心静脈カテーテル留置

解答: b

117E47の解説

【プロセス】
①高速道路で乗用車運転中にガードレールに衝突(乗用車は前方部分が大破)
②血圧98/62mmHg
③眼瞼結膜はやや貧血様
④発声は可能で気道は開通
⑤頸静脈の怒張と頸部気管の右側偏位
⑥視診で胸郭膨隆、触診で握雪感、打診で鼓音および聴診で呼吸音の消失
☞交通外傷により前方からダメージを受けた患者(①)。⑤⑥より気胸が疑われる。

【選択肢考察】
a ④より気管挿管は必要ない。また、気胸の患者に脱気せずして人工呼吸を行うと病態が悪化する。
b 正しい。胸腔穿刺(胸腔ドレナージ)が気胸への第一選択となる治療である。
c ②より血圧はギリギリ保たれており、昇圧薬投与は必要ない。また、原則として昇圧薬は心原性ショックに有効となる。気胸による血圧低下は閉塞性ショックによるものであり、この点からも選べない。
d 「出血が持続」といった記載がなく、②より血圧もかろうじて保たれており、③の「やや」という表現と合わせ、赤血球輸血は現時点では必要ないと判断する。
e 大量輸液をしたい場合や、高カロリー輸液をしたい場合に行う。本患者では現状、栄養について考慮するタイミングではなく、輸液に関しても末梢経由で十分と考えられる。

正答率:89%

テーマ:【長文1/2】交通外傷による気胸への処置

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