117E43

次の文を読み、以下の問いに答えよ。
68歳の男性。眼のかすみと足の違和感を主訴に来院した。
現病歴:20年前から健診で尿糖を指摘されていた。医療機関で生活指導を受けたが、転居を契機に通院を中断していた。10年前に退職してからは健診を受けていない。約2年前から両足のジンジンとした痺れを自覚していた。半年前から視力低下に気付いていたが加齢によるものと考えていた。3日前から右眼の霧視が出現した。
既往歴:18歳時に虫垂炎。輸血歴無し。
生活歴:60歳から独居。1日のほとんどを家で過ごしている。1日に1回か2回コンビニエンスストアの弁当や惣菜を食べている。喫煙は15本/日を48年間。飲酒はビール350mL/日または焼酎1合程度/日を週5、6回。
家族歴:父は脳梗塞のため72歳で死亡。母は老衰のため88歳で死亡。
現 症:身長170cm、体重72kg、腹囲86cm。血圧128/72mmHg。胸部と腹部とに異常を認めない。両眼底に軟性白斑と新生血管、右眼に硝子体出血を認める。
検査所見:尿所見:蛋白(±)、糖3+、ケトン体(-)、潜血(-)、沈渣に異常を認めない。血液所見:赤血球444万、Hb 12.9g/dL、Ht 43%、白血球6,000(好中球54%、好酸球2%、好塩基球0%、単球8%、リンパ球36%)、血小板19万。血液生化学所見:総蛋白6.9g/dL、アルブミン3.5g/dL、直接ビリルビン0.3mg/dL、AST 22U/L、ALT 19U/L、LD 186U/L(基準120~245)、γ-GT 17U/L(基準8~50)、アミラーゼ152U/L(基準37~160)、CK 132U/L(基準30~140)、尿素窒素20mg/dL、クレアチニン0.8mg/dL、eGFR 72.8mL/分/1.73m2、尿酸4.0mg/dL、血糖235mg/dL、HbA1c 8.9%(基準4.6~6.2)、総コレステロール247mg/dL、トリグリセリド64mg/dL、HDLコレステロール51mg/dL、Na 140mEq/L、K 4.4mEq/L、Cl 105mEq/L、Ca 9.1mg/dL、P 3.0mg/dL、TSH 3.0μU/mL(基準0.2~4.0)、FT4 1.2ng/dL(基準0.8~2.2)。
この患者の足の診察をする際、優先度の低い項目はどれか。
アキレス腱反射
足背動脈の拍動
皮膚病変の有無
内顆の振動覚
扁平足の有無

解答: e

117E43の解説

【プロセス】
①20年前から健診で尿糖を指摘(通院中断&10年前から健診を受けていない)
②約2年前から両足のジンジンとした痺れ
③半年前から視力低下・3日前から右眼の霧視
④両眼底に軟性白斑と新生血管、右眼に硝子体出血
⑤尿糖3+
⑥eGFR 72.8(慢性腎臓病〈CKD〉のGFR区分にてG2)
⑦血糖235mg/dL、HbA1c 8.9%
☞①⑤より耐糖能の悪化が予想されるが、⑦より糖尿病と診断される。②は糖尿病性ニューロパチー、③④は糖尿病性網膜症であろう。⑥から腎症の進行はそこまでではないようだ。糖尿病では神経障害や血流障害により、足の壊疽がみられやすく、本問ではそれについて診察をすることとなる。

【選択肢考察】
a 糖尿病性ニューロパチーにより、アキレス腱反射が減弱しやすい。
b 血流障害により、足背動脈の拍動が減弱しやすい。
c 壊疽が出現し始めていないか、皮膚病変の有無を確認する。
d 糖尿病性ニューロパチーにより、振動覚が低下する。
e 誤り。扁平足は糖尿病と直接の関係がない。

正答率:99%

テーマ:【長文1/2】糖尿病患者の足の診察で優先すべきこと

フォーラムへ投稿

関連トピック

なし