117E40

64歳の男性。左足底の潰瘍と安静時疼痛を主訴に来院した。2か月前から左下腿の安静時疼痛が出現し、足底の傷の治りも悪くなったため受診した。20年前から高血圧症と糖尿病で投薬治療を受けている。喫煙は20歳から40本/日。身長168cm、体重72kg。脈拍72/分、整。血圧158/88mmHg。胸腹部に異常を認めない。左膝窩動脈と左足背動脈の拍動を触知しない。下肢の三次元CT血管撮影像〈3D-CTA〉を別に示す。
この患者への説明で適切でないのはどれか。
「喫煙の継続は病態を悪化させます」
「足は清潔を保つようにしてください」
「左膝までの血流は良好に保たれています」
「傷の治りが悪いのは血行が悪いためです」
「心臓を養う血管の病気をしばしば合併します」

解答: c

117E40の解説

【プロセス】
①64歳の男性
②左足底の潰瘍と安静時疼痛
③足底の傷の治りも悪い
④20年前から高血圧症と糖尿病
⑤喫煙は20歳から40本/日
⑥左膝窩動脈と左足背動脈の拍動を触知しない
⑦下肢の三次元CT血管撮影像〈3D-CTA〉にて左外腸骨動脈から末梢側の閉塞と側副血行路の形成
☞④⑤といった動脈硬化のリスク因子がある中高年男性(①)にみられた足の症状(②)。⑥より足先まで血流が行き届いていないのであろう、③も納得だ。診断は⑦より閉塞性動脈硬化症〈ASO〉である。

【選択肢考察】
a 喫煙はASOのリスクである。
b 足が不潔だと細菌等に感染しやすくなる。最悪、壊死からの切断、といった事態にもなりかねない。
c 誤り。⑦より左膝までの血流は保たれていないと分かる。
d 血流が悪いと、創傷治癒因子が運搬されにくくなり、傷の治りが悪くなる。
e 動脈硬化は冠動脈にもみられやすく、虚血性心疾患をきたす。

正答率:99%

テーマ:閉塞性動脈硬化症〈ASO〉患者への説明

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