117D74

76歳の女性(3妊3産)。大腿骨骨折のため入院中である。膀胱内留置カテーテルを抜去した翌日、外陰部の腫瘤を認めた。本人は1年前から外陰部のしこりを自覚していたが、日常生活に支障がないため受診していなかったという。意識は晴明。身長154cm、体重64kg。体温36.8℃。脈拍72/分、整。血圧126/74mmHg。呼吸数14/分。胸腹部の身体所見に異常を認めない。血液所見と血液生化学所見とに異常を認めない。診察時の外陰部写真を別に示す。
この患者に認めた場合、腫瘤の用手還納を急ぐのはどれか。
帯下
尿閉
外痔核
尿失禁
子宮腟部粘膜擦過傷

解答: b

117D74の解説

【プロセス】
①76歳の女性(3妊3産)
②膀胱内留置カテーテルを抜去した翌日、外陰部の腫瘤を認めた
③本人は1年前から外陰部のしこりを自覚
④診察時の外陰部写真にて骨盤臓器脱(膀胱瘤と子宮脱の合併と思われる)
☞多経産の高齢女性(①)における骨盤臓器脱(③④)。入院患者の膀胱内留置カテーテルを抜去でもしない限り、外陰部をまじまじと観察する機会はないため、②はそのための誘導と考えられる(カテーテルを抜去したから臓器脱した、というわけではない)。

【選択肢考察】
a 帯下が増加しやすくなるが、緊急性はない。
b 正しい。膀胱瘤により尿道が屈曲し、尿閉となると、水腎症や腎機能低下、尿路感染をきたしやすくなるだけでなく、拡張した膀胱により膀胱瘤がさらに増悪する悪循環となる。これは急ぎ用手還納すべき症候と言える。
c 肛門付近の静脈叢が圧迫され、外痔核を呈する可能性がある。が、これ自体は緊急の病態ではない。
d 尿失禁がみられた場合、たしかに日常生活に支障をきたすと言えるも、急ぎ整復を要する症候とまでは言えない。
e 突出した子宮腟部の粘膜が下着などと擦れ、擦過傷をみることがある。が、特に緊急性を要する病態とは言えない。

正答率:94%

テーマ:骨盤臓器脱の用手還納を急ぐ所見

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