117D73

12歳の女児。1週間前から断続的に生じる左側腹部痛を主訴に来院した。既往歴に特記すべきことはない。身長153cm、体重42kg。体温36.3℃。脈拍80/分、整。血圧112/72mmHg。呼吸数12/分。腹部は平坦で、反跳痛を認めない。左の肋骨脊柱角に叩打痛を認める。尿所見:蛋白(-)、糖(-)、ケトン体(-)、潜血(-)、沈渣に異常を認めない。血液所見:赤血球474万、Hb 13.0g/dL、Ht 40%、白血球6,500、血小板28万。血液生化学所見:総蛋白6.7g/dL、アルブミン4.3g/dL、総ビリルビン0.3mg/dL、AST 14U/L、ALT 8U/L、LD 156U/L(基準120~245)、尿素窒素9mg/dL、クレアチニン0.5mg/dL、尿酸3.5mg/dL、血糖82mg/dL、Na 144mEq/L、K 4.0mEq/L、Cl 108mEq/L、Ca 8.8mg/dL。腹部単純CTで尿路に石灰化陰影や走行異常を認めない。腹部造影CT水平断像(A)、造影CT後の腹部エックス線写真(B)及び利尿レノグラム(C)を別に示す。
治療として適切なのはどれか。
体外衝撃波結石破砕術
膀胱尿管新吻合術
膀胱拡大術
腎盂形成術
自己導尿

解答: d

117D73の解説

【プロセス】
①12歳の女児
②断続的に生じる左側腹部痛
③左の肋骨脊柱角に叩打痛
④腹部単純CTで尿路に石灰化陰影や走行異常を認めない
⑤腹部造影CT水平断像(A)と造影CT後の腹部エックス線写真(B)にて左腎盂の拡張(左水腎症)
⑥利尿レノグラム(C)にて左腎が閉塞型
☞小児(①)にみられた片側性腹痛(②)。消化管疾患なども鑑別に挙がるが、③⑤より左水腎症と判断できる。水腎症では投与された放射性同位元素の排泄ができず、レノグラムにて⑥の所見がみられる。④より尿路結石や尿路奇形/狭窄は否定的。

【選択肢考察】
a 尿路結石の治療である。
b 逆流防止術であり、膀胱尿管逆流〈VUR〉の治療である。
c 膀胱容積の減少がみられた際に有効。
d 正しい。④より水腎症をきたしている原因は尿管より頭側にあると考えられる。むろん腎盂が拡張しているため、腎盂より末梢側にあることも推測がつく。すなわち、泌尿器科の解剖生理で学習する生理的狭窄部位の1つである腎盂尿管移行部が原因の可能性が高い。ゆえに腎盂形成術を行うことで閉塞解除を狙う。
e 排尿困難や残尿が多いことが問題になっているわけではないため、自己導尿は意味がない。

正答率:78%

テーマ:尿路奇形(腎盂尿管移行部狭窄)による水腎症に対する治療

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