117D69

71歳の男性。呼吸困難のため救急車で搬入された。1週間前から発熱と痰の増加を認め、呼吸困難も出現したため救急車を要請した。COPDで自宅近くの診療所に通院中である。意識は清明。体温37.3℃。心拍数108/分、整。血圧110/74mmHg。呼吸数24/分。両側の胸部にcoarse cracklesを聴取する。血液所見:白血球15,890(好中球91%、好酸球0%、単球5%、リンパ球4%)。血液生化学所見:総蛋白7.8g/dL、アルブミン4.5g/dL、AST 14U/L、ALT 7U/L、尿素窒素19mg/dL、クレアチニン0.7mg/dL、Na 141mEq/L、K 4.1mEq/L、Cl 97mEq/L。CRP 13mg/dL。動脈血ガス分析(鼻カニューラ3L/分 酸素投与下):pH 7.42、PaCO2 41Torr、PaO2 63Torr、HCO3- 27mEq/L。胸部CTで両肺野に広がる浸潤陰影を認めた。喀痰Gram染色標本を別に示す。
この患者に開始すべき抗菌薬はどれか。
セファゾリン
バンコマイシン
クリンダマイシン
セフトリアキソン
ベンジルペニシリン

解答: d

117D69の解説

【プロセス】
①1週間前から発熱と痰の増加・呼吸困難も出現
②COPDで自宅近くの診療所に通院中
③両側の胸部にcoarse cracklesを聴取
④白血球15,890(好中球91%)・CRP 13mg/dL
⑤胸部CTで両肺野に広がる浸潤陰影
⑥喀痰Gram染色標本にてGram陰性菌
☞②を背景とした肺炎(③⑤)による各種症状(①)。④より細菌性を疑い、⑥からモラクセラやインフルエンザ桿菌が起炎菌として考えられる(よ〜く画像をみると双球菌らしきものが散見されるため、モラクセラ推しか?)。いずれであったとしても、治療には高世代セフェムが有効。

【選択肢考察】
a セファゾリンは第1世代セフェムであり、耐性を示す可能性が高い。
b バンコマイシンはメチシリン耐性黄色ブドウ球菌〈MRSA〉などに有効。
c クリンダマイシンは嫌気性菌などに有効。
d 正しい。セフトリアキソンは第3世代セフェムであり、モラクセラであってもインフルエンザ桿菌であっても有効。
e ベンジルペニシリン〈ペニシリンG〉はブドウ球菌やレンサ球菌、肺炎球菌などに有効。

正答率:67%

テーマ:肺炎に有効な抗菌薬

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