117D67

10か月の女児。呼吸困難を主訴に母親に連れられて来院した。3日前から鼻汁と咳嗽が続いていたが、発熱もなく機嫌が良かったので自宅で様子をみていた。夕方から咳嗽が悪化し、呼吸が苦しそうになったという。体温37.0℃。心拍数138/分、整。呼吸数60/分。SpO2 92%(room air)。鼻翼呼吸、陥没呼吸および軽度の口唇チアノーゼを認める。呼吸音に左右差や減弱を認めない。両側肺でcoarse cracklesは聴取しないが、呼気性喘鳴を聴取する。鼻腔RSウイルス迅速検査は陽性だった。
この患児に予測される検査所見として正しいのはどれか。
血小板数減少
血清IgE高値
好中球核左方移動
高二酸化炭素血症
胸部エックス線写真の肺浸潤影

解答: d

117D67の解説

【プロセス】
①10か月の女児
②3日前から鼻汁と咳嗽
③夕方から咳嗽が悪化し、呼吸が苦しそう
④鼻翼呼吸、陥没呼吸および軽度の口唇チアノーゼ
⑤呼気性喘鳴を聴取
⑥鼻腔RSウイルス迅速検査は陽性
☞乳児(①)にみられている呼吸器症状(②③)。④は呼吸不全徴候として有名だ。⑥より急性細気管支炎が疑われ、⑤も矛盾しない。

【選択肢考察】
a 感染症では炎症の結果として血小板数が増加することがある。が、激しい感染症では播種性血管内凝固〈DIC〉を呈して減少することもある。本問の文面だけからではなんとも言えない、というのが正直なところ。実戦的には消去法で、他にそれらしい選択肢がなければ選ぶ候補としておく、といった対処をすることになろう。
b I型アレルギー疾患でみられる。
c 細菌感染でみられる。
d 正しい。II型呼吸不全を呈した場合、高二酸化炭素血症をみる。同じく閉塞性の呼吸障害を呈するCOPDの急性増悪とパラレルに考えるとよいだろう。COPD単独ではI型もII型も双方を呈する可能性があるが、急性増悪により換気が急激に滞り、II型呼吸不全に移行する。本症例でも「発熱もなく機嫌が良かった」という状況から急変しており、II型呼吸不全に至っている可能性が高い。
e coarse cracklesを聴取しておらず、呼吸音の減弱もない。肺浸潤影の存在は考えにくい。

正答率:49%

テーマ:急性細気管支炎の検査所見

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