117D64

74歳の女性。右股関節痛を主訴に来院した。7年前に右変形性股関節症で右人工股関節置換術を受けた。その後、問題なく経過していたが、半年前から右股関節痛が出現し、徐々に痛みが増悪し歩行困難になったため受診した。意識は清明。身長156cm、体重46kg。体温37.2℃。脈拍84/分、整。血圧132/72mmHg。右股関節に腫脹と熱感を認め、発赤も伴っている。血液所見:赤血球370万、Hb 10.8g/dL、Ht 33%、白血球12,700、血小板30万。血液生化学所見:総蛋白7.4g/dL、アルブミン3.4g/dL、総ビリルビン0.6mg/dL、AST 17U/L、ALT 8U/L、LD 134U/L(基準120~245)、ALP 144U/L(基準38~113)、γ-GT 16U/L(基準8~50)、アミラーゼ70U/L(基準37~160)、尿素窒素12mg/dL、クレアチニン0.7mg/dL、血糖90mg/dL、Na 143mEq/L、K 4.0mEq/L、Cl 105mEq/L。CRP 6.2mg/dL。来院時の両側股関節エックス線写真で、右人工股関節にゆるみを認めた。
次に行うべきなのはどれか。
副腎皮質ステロイド関節内注入
下肢持続牽引
可動域訓練
関節液培養
ギプス固定

解答: d

117D64の解説

【プロセス】
①7年前に右変形性股関節症で右人工股関節置換術
②半年前から右股関節痛が出現し、徐々に痛みが増悪し歩行困難に
③右股関節に腫脹と熱感を認め、発赤も伴っている
④白血球12,700・CRP 6.2mg/dL
⑤来院時の両側股関節エックス線写真で、右人工股関節にゆるみ
☞①②⑤より今回のエピソードは右人工股関節置換が原因と考えられる。③④より細菌感染が疑われ、遅発性の術後感染と判断する。

【選択肢考察】
a 副腎皮質ステロイドの投与は一般に細菌感染を悪化させる。
b 骨折などの整復法である。
c リハビリテーションの1つであるが、細菌感染の真っ只中に行うべきことではない。
d 正しい。関節液培養により起炎菌を同定し、治療へとつなげる。
e 骨折などの整復法である。感染の真っ只中に固定を行うべきではない。

正答率:93%

テーマ:化膿性股関節炎への対応

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