117D58

57歳の女性。咳嗽、呼吸困難および発熱を主訴に来院した。昨年も8月に同様の症状で入院し、入院後治療せずに軽快している。1週間前から症状が増悪したため救急外来を受診した。体温37.8℃。脈拍92/分、整。血圧112/70mmHg。SpO2 92%(room air)。呼吸音は両側でfine cracklesを聴取する。血液所見:赤血球335万、Hb 12.8g/dL、Ht 33%、白血球7,400、血小板15万。血液生化学所見:AST 25U/L、ALT 28U/L、LD 280U/L(基準120~245)、クレアチニン0.5mg/dL。CRP 5.8mg/dL。胸部単純CTで浸潤影、すりガラス陰影および小葉中心性陰影を認めた。
この患者の所見として誤っているのはどれか。
KL-6低下
拘束性換気機能障害
ツベルクリン反応陰転化
Trichosporon asahii抗体陽性
気管支肺胞洗浄液中CD4/CD8比低下

解答: a

117D58の解説

【プロセス】
①咳嗽、呼吸困難、発熱
②昨年も8月に同様の症状で入院(治療せずに軽快)
③呼吸音は両側でfine cracklesを聴取
④胸部単純CTで浸潤影、すりガラス陰影、小葉中心性陰影
☞①③④より間質性肺炎を疑うが、②が大きなヒントとなる。夏にみられており、かつ治療せずに軽快(すなわち自宅の環境を離れるだけで改善)しているため、夏型過敏性肺炎と診断する。

【選択肢考察】
a 誤り。間質性肺炎ではKL-6が増加する。
b 間質性肺炎では拘束性換気機能障害をみる。
c 過敏性肺炎ではツベルクリン反応が陰転化する。
d Trichosporon asahiiが原因物質となるため、その抗体が陽性となる。
e 気管支肺胞洗浄液中のCD4/CD8比が低下する。8月に出現→8がup→CD8上昇→CD4/CD8比低下、というのが古典的な覚え方だ。

正答率:95%

テーマ:過敏性肺炎の所見

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