117D57

3歳の男児。急激な体重増加を主訴に父親に連れられて来院した。身長98cm、体重19kg。体温36.5℃。脈拍120/分、整。血圧136/88mmHg。呼吸数28/分。SpO2 100%(room air)。肥満あり。顔面、頸部、体幹および背部を中心に脂肪の蓄積を認めるが、上下肢は細い。全身の多毛と下腹部の皮膚線条とを認める。血液生化学所見:血糖122mg/dL、HbA1c 5.7%(基準4.6~6.2)、総コレステロール332mg/dL、トリグリセリド257mg/dL、Na 143mEq/L、K 3.6mEq/L、Cl 105mEq/L、Ca 9.4mg/dL、P 3.7mg/dL、ACTH<1.5pg/mL(基準60以下)、コルチゾール26.1μg/dL(基準5.2~12.6)。患児の成長曲線を別に示す。
この患児の病態を生じる基礎疾患として最も考えられるのはどれか。
甲状腺腫
副腎腺腫
下垂体腺腫
褐色細胞腫
副甲状腺腫

解答: b

117D57の解説

【プロセス】
①3歳の男児
②急激な体重増加(肥満あり)
③顔面、頸部、体幹および背部を中心に脂肪の蓄積を認めるが、上下肢は細い
④全身の多毛と下腹部の皮膚線条
⑤ACTH低値・コルチゾール高値
⑥成長曲線にて3歳からスタートしている身長増加不良と体重増加
☞小児(①)の肥満(②)であり、③より中心性肥満と分かる。多毛・皮膚洗浄(④)といったキーワードと合わせ、Cushing症候群を想起しよう。Cushing症候群にはACTH上昇により下流のコルチゾールが増加するパターン(Cushing病・異所性Cushing)と副腎からのコルチゾール分泌増加によるfeedbackでACTHが抑制されるパターン(副腎腺腫・副腎癌)とがあるが、⑤より後者である。Cushing症候群では生後すぐではなく、しばらく経ってからの低身長がみられる(内分泌性低身長)のがポイントで、それを⑥から読み取る。

【選択肢考察】
a 甲状腺異常ではACTHやコルチゾールの変化が説明つかない。
b 正しい。上記の通り。
c 下垂体腺腫(Cushing病)ではACTHが増加するはず。
d 褐色細胞腫では体重減少をみる。また、頭痛や発汗過多、便秘といった症候を呈しやすい。
e 副甲状腺の異常であれば、血中のカルシウムやリンが異常値を呈するはず。

正答率:97%

テーマ:副腎腺腫性Cushing症候群による低身長の診断

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