117D50

60歳の女性。右上腹部痛を主訴に来院した。以前から空腹時に右上腹部痛や右背部痛を自覚することがあったが、特に加療せず軽快していた。2日前から右上腹部痛を自覚し、徐々に増悪するため受診した。既往歴に特記すべきことはない。内服薬はない。喫煙歴はない。飲酒はビール350mL/日を40年間。家族歴に特記すべきことはない。身長155cm、体重52kg。体温36.1℃。脈拍80/分、整。血圧132/80mmHg。眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない。腹部は平坦で、右上腹部に圧痛を認め、筋性防御と反跳痛とを認めない。肝・脾を触知しない。腸雑音に異常を認めない。血液所見:赤血球452万、Hb 12.9g/dL、Ht 40%、白血球8,300、血小板18万。血液生化学所見:総蛋白7.6g/dL、アルブミン3.9g/dL、総ビリルビン0.9mg/dL、AST 24U/L、ALT 14U/L、LD 188U/L(基準120~245)、ALP 86U/L(基準38~113)、γ-GT 38U/L(基準8~50)、アミラーゼ95U/L(基準37~160)、尿素窒素12mg/dL、クレアチニン0.6mg/dL、血糖92mg/dL。CRP 0.1mg/dL。上部消化管内視鏡検査の十二指腸球部像を別に示す。
次に行う検査はどれか。
腹部MRI
FDG-PET
尿素呼気試験
超音波内視鏡検査
血中ガストリン測定

解答: c

117D50の解説

【プロセス】
①空腹時に右上腹部痛や右背部痛
②上部消化管内視鏡検査の十二指腸球部像にて潰瘍の存在
☞①②より十二指腸潰瘍の診断。胃潰瘍は食後に、十二指腸潰瘍は空腹時に増悪しやすいという原則を確認。

【選択肢考察】
a 広がりや転移を考慮せねばならない悪性腫瘍とは異なり、消化性潰瘍に対して腹部MRIは必要ない。
b 広がりや転移を考慮せねばならない悪性腫瘍とは異なり、消化性潰瘍に対してFDG-PETは必要ない。
c 正しい。ピロリ菌の検査である。ピロリ菌は十二指腸潰瘍の原因となるため、もし陽性であれば除菌治療へと進む。
d 壁深達度を確認すべき腫瘍性病変とは異なり、消化性潰瘍に対して超音波内視鏡検査は必要ない。
e ガストリノーマに有効。確かにガストリノーマでは消化性潰瘍をみるが、消化性潰瘍があったからといって全例がガストリノーマなわけではない。ガストリノーマであれば特徴的な電解質異常(Ca↑・K↓・Cl↓)や水様性脂肪性下痢がみられる、など他の症候についての記載がほしいところだ。

正答率:64%

テーマ:十二指腸潰瘍に行う検査

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